論点

最近は経済学を勉強していないけど

小島寛之さんの「バーナンキの背理法論駁n歩手前」 普通の経済モデルの感覚でいうと、「インフレが本当に起きるか起きないか」といった推論を整合的に取り込んだモデルを作れば、多かれ少なかれコモンノレッジの様相が現れて、「自己実現的な」複数の均衡が…

塩川伸明先生と梶谷懐氏へのメール

(私的な会話にかかわるところを念のため一部略しました。関係者のご了承があれば復元します。) 前略、塩川先生、梶谷さん このたびはやや思慮を欠いた形で御説に言及することとなり、反省しております。 塩川先生のハスラム評、一読いたしました。ハスラム…

梶ピエール先生の(わたしめへの)ご立腹

につきましては下品なエントリの中でほめ殺しになりかねない言い回しで大袈裟に言い立ててしまったことにつきましてはここでお詫び申し上げる次第です。 というわけで皆さんこちらもお読みください。 http://d.hatena.ne.jp/kaikaji/20080717/p1 引用されて…

「続・ゲームと公共性」をやりたいのだが

つまり http://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20060629/p3 の続きを書きたいのだが、思いつきの垂れ流し以上のちゃんとした議論を展開するのは相当に大変ではないですか? ニコニコ動画を見ていて気になることのひとつが、テレビゲーム、主としてRPGのリプ…

フィリップ・バビットを読みながら

くそ分厚い大著の第一部(憲法・国家編)は意外と快調に読了したものの第二部(国際法・国際社会編)でちょっとペースが落ちた。しょっぱなはウッドロウ・ウィルソン再評価というかリアリストたち(たとえばキッシンジャー)がウィルソン主義をナイーブなお…

「疎外」「物象化」をめぐってあれこれ無秩序に

考え方はいろいろあって、まず「マルクスの思想は現代経済学・ゲーム理論と整合的である」という大前提から出発する。そうするとここで「だからマルクスも再読に堪える」という考え方も出てくれば、逆に「だったらマルクスイラネ」という考え方も出る。この…

「『はだかの王様の経済学』は戦慄すべき本である」メモ

ここんとこ毎日10年ぶりの英語論文を書いていて時間がないのでこんなことしている場合じゃないのだが(お約束)。 http://cruel.org/other/matsuo/matsuo.html#sec2 少しでもまともな仕事をやったことがある人ならすぐわかるけど、最終的な財の生産につなが…

「何故しぶとく生き延びるのか ゴキブリとマルクス」『諸君!』2005年8月号

松尾さんの新著をめぐって変に盛り上がっているのでお蔵出し。 何らかのネタの提供になるだろうか。 これと『教養』第7章を読んでいただければ、ぼくが疎外論的マルクス主義それ自体には割と批判的――正統派レーニン主義にもそれなりの事情があったし、その…

カーをちょこっとかじっただけで、モーゲンソーもウォルツももちろんミアシャイマーも読んでいないのに、無理矢理リアリズム国際政治学について考えてみるよ。(続々)

http://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20080524 今一度確認してみたいのだけれど、国際政治学と経営学・経済学との間にある並行性とその破れについて図式化すると: 国際政治学、ことにいわゆる「リアリズム」においては、国家を行為主体とする方法論的個…

カーをちょこっとかじっただけで、モーゲンソーもウォルツももちろんミアシャイマーも読んでいないのに、無理矢理リアリズム国際政治学について考えてみるよ。(続:覇権安定理論の復習もするよ。)

一つ知りたいことは、オフェンシブ・リアリズムの人たちは国際政治経済についてどのような見解を抱いているのかということだ。彼らの考える国力の根幹は結局は武力とそれを適切に行使する戦略的知性ということになるだろうけれど、武力の下部構造って結局経…

カーをちょこっとかじっただけで、モーゲンソーもウォルツももちろんミアシャイマーも読んでいないのに、無理矢理リアリズム国際政治学について考えてみるよ。

そもそもここでいう「リアル」って何なのだろうか。通俗的な理解ではここでのリアリズムというのは必ずしも「実証的」とか「実現可能性を重んじた」という意味ではないと思う。そもそもまともな社会科学であればそれを実践できているかどうかはともかくそれ…

田島正樹先生からお礼状をずいぶん前にいただいたけれど

お返事が遅れてしまったので少しこちらに書いてみるよ。 (『「公共性」論』を――引用者)一ベツした所、現状認識については私とはずい分違ふやうに思はれますが、理論的な点で少々食ひ違ふのは、進化論の評価でせう。(cf p-207)人間についての洞察としては…

クルーグマン談話@朝日

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/post_887a.html http://d.hatena.ne.jp/HALTAN/20080513/p2 見てないのでメモ。どこかの図書館で見れるだろうけど。 付言するとhamachan先生のおっしゃる「リベラル」は松尾さんのいう「反右翼」に、「ソ…

フーコーの使いみち

kallikles先生のヌスバウム超訳 私のように、現代のロースクルールでフーコーを教えてみればよい。 すると、すぐに、攪乱てのもがいろんな形をとりかたをすることがわかるだろう。 それらがすべてバトラーやその仲間たちにとって好ましいものというわけでは…

書棚のアフォーダンス

現行電子辞書には、例えば翻訳者が、辞書によって、辞書において、辞書に関連して(無意識に行なっていることを含めて)行なっていること(言わば〈辞書のアフォーダンス〉)を実行する機能が備わっていない。辞書は、基本的にはテキストではなく、テキスト…

季節柄、インフルエンザにつき

http://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20070409/p1 http://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20060910/p1 の続きということで。 『〈病〉のスペクタクル』(人文書院)で注目された美馬達哉氏だが、メタボや精神障害についての議論には学ぶところも多いとは…

小泉義之先生のブログを読んでいて

http://d.hatena.ne.jp/desdel/20071128 「認知資本主義論」というとてつもなく香ばしい言葉(「知識資本主義論」を更に頭悪くした感じでナイス)が気になったので検索すると 小泉義之「脳の協同 ―ガブリエル・タルド『経済心理学』を導入する」 が出てくる…

橋本努『帝国の条件』合評会レジュメ

帝国の条件 自由を育む秩序の原理作者: 橋本努出版社/メーカー: 弘文堂発売日: 2007/04/05メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 46回この商品を含むブログ (31件) を見る 昨日の合評会(経済理論史研究会@早稲田)で配布したものを貼り付けます。

可能世界というアイディアの有用性

吟味せずに適当に思いつきをメモします。誤りなどご教示いただけると幸いですが、ご面倒ならば放置しておいて下さい。恥をかくのはなれております。 論理学とか計算科学、更にその技術的応用のレベルについては言うを待たないが、哲学的な意義について考えて…

追記

何で今頃こんなものを持ち出したのかというと、アーレントの「忘却の穴」論についていま一度考え直したかったからである。 「忘却の穴」論は一歩間違うと陰謀論になってしまう。それどころか下手をすれば敵であるはずの「ガス室はなかった」論の同じ轍を踏む…

『リベラリズムの存在証明』「エピローグ(草稿)」

以前今はなき玲奈さんのご厚意でアップしていただいていたものだが、消滅して久しいのでこちらにアップする。

長谷部恭男のアレント観

http://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20070427/p2 http://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20070530/p3 の続き。 ……〔アーレント〕が描くのは、「真正な政治 authentic politic」の姿である。ギリシャのポリスを典型例として説かれる「真正な政治」活動と…

内藤朝雄氏の文体の変化

6月17日、広田照幸さん代表の科研費研究会例会に行ってきて、小玉重夫氏と内藤朝雄氏の報告を聞いた。小玉氏は原武史『滝山コミューン1974』の話をしていた。内藤氏はというと、基本的にはここしばらくのブログとあんまり変わらない話ですよ。 それで思った…

スピヴァクが来日するとかいうので

復習。(もちろんご尊顔を拝するつもりはない。) http://d.hatena.ne.jp/kaikaji/20040704#p1 http://www.meijigakuin.ac.jp/~inaba/books/bks0412.htm 間に合うかどうかはわからないが冬篭りの支度をしています。

教育ヴァウチャーの問題点

教育バウチャーは、しばしば、米国で貧困層に支給されるフードスタンプ(食料購入のみに使えるクーポン)に譬えられるが、誤りである。商店は、フードスタンプで対価を払う消費者を拒否する必要はないからだ。 経済的・社会的に恵まれない子供や親にとっての…

井上典之「国家緊急権」(『岩波講座憲法6』所収)について

http://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20070523/p1 どうにも気になって、再読してみたのだがやはりこれは……。 「国家緊急権が想定する危機ないし緊急事態が、戦争から内乱、自然災害、さらに経済恐慌までを含むきわめて包括的な概念であること」は問題とな…

非民主的だがリベラルな左翼

うーむ 『その道にも陶器の破片が敷き詰められているような・・・。』 http://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20070427#c1178032724 いやそこが地雷原だってことくらい俺だって(以下略) murayama 『地方行政・議会の左翼の実態ってそういうことで…

『岩波講座憲法1 立憲主義の哲学的問題地平』における長谷部恭男包囲網

http://www.bk1.co.jp/product/2782737?partnerid=p-inaba3302385 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4000107356/interactivedn-22 やはり公私を区分するジョン・ロールズの政治的リベラリズムと異なり、長谷部〔恭男〕が立憲主義を不自然な、人々に…

中林真幸「日本資本主義論争」『岩波講座 「帝国」日本の学知 第2巻 「帝国」の経済学』(岩波書店)

http://www.bk1.co.jp/product/2713013?partnerid=p-inaba3302385 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/400011252X/interactivedn-22 今や誰も手に取りそうもない 山田盛太郎『日本資本主義分析』(岩波文庫) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/AS…

タミフル@川端裕人ブログ

http://ttchopper.blog.ocn.ne.jp/leviathan/2007/04/post_ffc6.html まだ続いています。ぼく自身はきくちさんのご意見に親近感を抱くわけだが……。