2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧

社会学を志望しようかなと思っている大学受験生のために(2011年度版)

今年も模擬講義の季節がやってまいりました。 とりあえず埼玉県立越谷北高校の皆さん、お約束のバージョンアップ版です。 再来週は都立三田高校に参ります。 ========================== 社会学は経済学や政治学と並んで「社会科学」の仲間とされていますが…

お買いもの

一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル作者: 東浩紀出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/11/22メディア: 新書購入: 14人 クリック: 581回この商品を含むブログ (164件) を見る 一読した。内容自体はそれほど独創的ではない。たとえば拙著『「公共性」論』…

立岩真也『私的所有論』の一解釈

念のためにここから今少し敷衍しよう。まさに不動産からの「立ち退き」のケースについて考えてみる。再開発の波が押し寄せる小汚い下町で、猫の額ほどの土地の上にボロ家が建っている。しかしその土地はまさにその居住者のものだとしよう。あるいは借り物だ…

市民社会から資本主義へ(続「「占有」について」)

かつての日本の市民社会派マルクス主義は、市民社会から資本主義社会への転化を「領有法則の転回」――「労働に基づく所有」から、「蓄積された労働=資本に基づく所有」への転化として捉えた。それは言ってみれば「小ブルジョワ没落史観」である。『資本論』…

お買いもの

平等と効率の福祉革命――新しい女性の役割作者: イエスタ・エスピン=アンデルセン,大沢真理出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/11/19メディア: 単行本購入: 14人 クリック: 506回この商品を含むブログ (12件) を見る近現代日本経済史要覧作者: 三和良一,…

いただきもの

この世で一番おもしろいミクロ経済学――誰もが「合理的な人間」になれるかもしれない16講作者: ヨラム・バウマン,グレディ・クライン,山形浩生出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2011/11/26メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 20人 クリック: 216回…

お買いもの

狂ったように買っておるな。現代の金融入門 [新版] (ちくま新書)作者: 池尾和人出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2010/02/10メディア: 新書購入: 21人 クリック: 300回この商品を含むブログ (48件) を見る 旧版持ってるけどね。金融と法 -- 企業ファイナン…

お買いもの

近代法における債権の優越的地位 (1953年) (学術選書〈第1〉)作者: 我妻栄出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 1953メディア: ? クリック: 33回この商品を含むブログ (1件) を見る 古書の方がオンデマンド版より安いよね。 この先生は普通に穏健なマルクス主義者…

「占有」について

いい加減なノート。やっと立岩理論の意義と限界が見えてきた感あり。============================ 昨今の「市民社会」ブームの中ではほとんど忘れ去られていた、戦後日本マルクス主義の一ウィングとしての「市民社会派」はマル…

「公共政策論」講義メモ

我々は市民社会の構成契機として、財産所有者としての市民たち、その市民たちの被保護者・被支配者としてともに家や団体を構成する人々、市民たちの財産、そして公共圏のインフラストラクチャー、を見てきた。ロック的な視点をとるならば、こうした市民社会…

お買いもの思案

原子力発電をどうするか ?日本のエネルギー政策の再生に向けて?作者: 橘川武郎出版社/メーカー: 名古屋大学出版会発売日: 2011/08/25メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (4件) を見る東京電力 失敗の本質―「解体と再生」のシナリ…

お買いもの思案

法と革命〈1〉欧米の法制度とキリスト教の教義 (日本比較法研究所翻訳叢書)作者: ハロルド・J.バーマン,Harold J. Berman,宮島直機出版社/メーカー: 中央大学出版部発売日: 2011/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る法と革命〈2〉ドイツと…

お買いもの

神保町三省堂にて;社会統治と教育―ベンサムの教育思想作者: 小松佳代子出版社/メーカー: 流通経済大学出版会発売日: 2006/09メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 法哲学会功利主義シンポで教育学代表選手だった小松先生の博論。 明倫館書店にて;非…

お買いもの

分析哲学入門 (講談社選書メチエ)作者: 八木沢敬出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/11/11メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 11人 クリック: 129回この商品を含むブログ (22件) を見る「カラッと明るい」――と言うより恐ろしく洗練された入門書。八木…

いただきもの

要約 ケインズ 雇用と利子とお金の一般理論作者: 山形浩生,J・M・ケインズ出版社/メーカー: ポット出版発売日: 2011/11/16メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 272回この商品を含むブログ (11件) を見る なるほど全訳ではなくこちらを出版するのか。

「労使関係論」とは何だったのか(19)

圷君たちの本を受け取ってちょっとまたまたむずむずしてきたので社会政策論と福祉国家論につきまとめてみる。精密な学説史的考証は後からやればいい。 まあ「社会政策学の復興」は武川正吾先生のやり方ではだめで、かといって圷さんたちのやり方でもダメで、…

小松左京「物体O」より

「しかし、いつかは、我々が世界経済に復帰する日が来るにちがいない」機械メーカーの社長が言った。「そうなった暁には、我々は世界の技術的発達からとり残され、最後先進国になっているでしょう」 「その点についてはプランがあります」 科学技術担当の会…

お買いもの

大学教員 採用・人事のカラクリ (中公新書ラクレ)作者: 櫻田大造出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2011/11/09メディア: 新書購入: 2人 クリック: 70回この商品を含むブログ (27件) を見る 伝説の名著、鷲田小弥太『大学教授になる方法』から20年……時代…

「公共政策論」講義メモ

公共領域、公共空間、「市民的公共圏」としての都市と都市間交通網を無視するわけにはいかないが、ハーバーマスの視点はそこにはあまり向けられない。ハーバーマスが重視するのは、そしておそらくはロックの場合もそうなのだろうが、文字言語を介したコミュ…

お買いもの

小松左京セレクション 1---日本 (河出文庫)作者: 小松左京,東浩紀出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2011/11/05メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 32回この商品を含むブログ (12件) を見る 短編小説集、というのではなく長編抜粋や「まえがき」「あと…

いただきもの

「科学的思考」のレッスン 学校では教えてくれないサイエンス (NHK出版新書)作者: 戸田山和久出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2011/11/08メディア: 新書購入: 12人 クリック: 98回この商品を含むブログ (45件) を見る 版元より。なかなか盛りだくさんである…

お買いもの

リトル・ピープルの時代作者: 宇野常寛出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2011/07/28メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 362回この商品を含むブログ (85件) を見る 読んでみました。悪のイメージにちょっと疑問が。宇野さんは結局「善悪の区別は公的なもの…

疎開についての8月末段階でのメモ

以前に書いて猪飼修平氏はじめCFW-Japan内一部の方々に回覧したメモをアップする。 除染についての見積もりをちゃんとして、まともな政策提言といえるレベルにしてから公にしようと思っていたが、多忙につきそんな暇もなく、また事態は刻々動いているので、…

教育の存在論(嘘)についての思い付き

教育社会学・教育経済学の学校教育についての理論、その存在論的前提について考えてみよう。 人的資本論はリベラリズム本流のそれと一致する。人間は本性レベルにおいては皆同じであり(かつその本性は不変であり)、違いは後天的に付加されるものである。教…

「公共政策論」講義メモ

ロックを現代的な意味での「市民社会」のパラダイムとみなすことには以上みたように十分な理由もあるが限界もある。更にここではもう一つ、ロックにおける「都市」観念の希薄ないしは不在について注意を喚起しておきたい。 ロックの『統治二論』テキストを走…

竹内洋『革新幻想の戦後史』(中央公論新社)

革新幻想の戦後史作者: 竹内洋出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2011/10/22メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 116回この商品を含むブログ (39件) を見る 『諸君!』から『正論』へと書き継がれた連載のまとめ。いまや『正論』は『諸君!』の受け皿も…

「公共政策論」講義メモ

市民社会は個人、あるいは、自然人のことをしか「個人」と呼びたくなければ個体の集合体ではあるが、それ自体は個体ではない。ではこの市民社会を構成する「個体」とは何であろうか? 実はそれは、ただ一人の自然人個人をしか含まない場合においても、通常は…