メモ
拙著『21世紀の資本主義の哲学』ではマルクス、シュンペーター、コルナイの系譜を重視して資本主義の(社会主義その他集権的経済と対比したときの)眼目を「イノヴェーションを伴う/誘発する市場経済」とした。市場で競争する企業はただ単に相場(競争的価…
田島正樹先生の『文学部という冒険』、掉尾を飾る大童澄瞳『映像研には手を出すな!』批評は見事だが、その伏線としてのカズオ・イシグロ『わたしを離さないで』読解にはやや首をひねる。いやたしかにこの作品のいかがわしさの核心部分に触れてはいるが、肝…
私法レベルでの財産権保障の枠組みが宇宙にストレートに延長されていくことを容認するとしても、それを支える公法的秩序、とりわけ国家主権、国際(公)法風に言うならば管轄権配分の問題は一筋縄ではいかない。 これまで「宇宙物体」といえば基本的に地上か…
『宇宙倫理学入門』には書けなかったことを少し考えてみる。================ よく知られているようにアメリカ合衆国は2015年に商業宇宙打ち上げ競争力法を制定し、月や小惑星など地球外の天体・宇宙空間で発見した資源を、発見者が私的に自…
とでも訳すのか?Unified Growth Theory作者: Oded Galor出版社/メーカー: Princeton Univ Pr発売日: 2011/04/11メディア: ハードカバー クリック: 3回この商品を含むブログを見る ここで岩本康志が紹介しているものである。タイラー・コーエンのコメントは…
以下は当日の模様のレポートではなく、あくまでも私的な感想である。公的なレポートは、来る『法学セミナー』をご覧いただきたい。なお、以下では触れていないが、モデレーターの木村草太による資料はきわめて充実しており、一見の価値がある。いずれ配信さ…
森先生の講義「独立と従属の政治経済学」は先生のこれまでの研究を総括しようという壮大な試みだったが、単行本にまとめられた『イギリス農業政策史』についてはうまい位置づけがなされないままに終わってしまった。 その後のパーティーでのお話で意外だった…
現代思想2012年2月号 特集=債務危機 破産する国家作者: 伊藤誠,浜矩子,杉村昌昭,小泉義之,マウリツィオ・ラッツァラート,セルジュ・ラトゥーシュ出版社/メーカー: 青土社発売日: 2012/01/27メディア: ムック クリック: 3回この商品を含むブログ (4件) を見る…
http://www.sal.tohoku.ac.jp/gcoewiki/jp/wiki.cgi?page=FrontPage&file=Tokyo%5FSeminar%5FFlier120304%2Epdf&action=ATTACH に行ってまいりました。 帰ろうと思ったところ助教の中室さんに呼ばれたので懇親会にも出て小塩さんと佐藤嘉倫先生にご挨拶をし…
田中秀臣についていって新城カズマ氏を交えて座談。 「『サマー/タイム/トラベラー』は内田善美『空の色に似ている』に強烈にインスパイアされている」仮説は確証されました。サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)作者: 新城カズマ,鶴田謙二出版社…
念のためにここから今少し敷衍しよう。まさに不動産からの「立ち退き」のケースについて考えてみる。再開発の波が押し寄せる小汚い下町で、猫の額ほどの土地の上にボロ家が建っている。しかしその土地はまさにその居住者のものだとしよう。あるいは借り物だ…
かつての日本の市民社会派マルクス主義は、市民社会から資本主義社会への転化を「領有法則の転回」――「労働に基づく所有」から、「蓄積された労働=資本に基づく所有」への転化として捉えた。それは言ってみれば「小ブルジョワ没落史観」である。『資本論』…
いい加減なノート。やっと立岩理論の意義と限界が見えてきた感あり。============================ 昨今の「市民社会」ブームの中ではほとんど忘れ去られていた、戦後日本マルクス主義の一ウィングとしての「市民社会派」はマル…
「しかし、いつかは、我々が世界経済に復帰する日が来るにちがいない」機械メーカーの社長が言った。「そうなった暁には、我々は世界の技術的発達からとり残され、最後先進国になっているでしょう」 「その点についてはプランがあります」 科学技術担当の会…
以前に書いて猪飼修平氏はじめCFW-Japan内一部の方々に回覧したメモをアップする。 除染についての見積もりをちゃんとして、まともな政策提言といえるレベルにしてから公にしようと思っていたが、多忙につきそんな暇もなく、また事態は刻々動いているので、…
は実は普通の意味の(法則定立志向的な)科学としても不可能ではない、のかもと思い始めている。三中信宏先生のやってることってそういうことでは。 たとえば、ある単一で他に類例がない存在者の出現に寄与した可能性がある因子が複数あったとして、それらの因…
http://www.japan-acad.go.jp/pdf/youshi/101/koba.pdf 法存立の歴史的基盤作者: 木庭顕出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2009/04メディア: 単行本 クリック: 13回この商品を含むブログ (6件) を見る
ハンナ・アレント的、あるいは藤田省三的な意味での「全体主義」概念を軸として、自分のこれまでの規範理論的な作業を振り返ると、以下のようにまとめられる。 『リベラリズムの存在証明』においては、非常に強い意味でカント的な――「独我論者同士の相互承認…
吉川洋・井堀利宏両氏主導の主文と有識者コメントからなる。 第1部は逆進性を焦点に消費税と社会保障について。主文では「引退後も含めた生涯所得ベースで考えれば逆進性はそれほどではない」というが、ロスジェネを中心とする流動性制約のきつい(貯蓄がな…
被災は個人の責任ではないということを強調され、日本はどこでも大災害に見舞われるリスクがあるのだから、国の制度として、災害時には復興と生活再建を保障するシステムを作るべきだとおっしゃいます。そこに恒常的財源としての「復興税」を組み入れるべき…
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/syutyukento/dai9/siryou3-4.pdf 読めばわかるやばさ。現時点での増税断固阻止。
別のことを考える。 佐藤亜紀がなぜあれほど小松左京を持ち上げることに対して苛立っているのか。それにはちゃんとした理由がある。それはおそらく、伊藤計劃について小松左京、そしてとりわけ山田正紀の影響を指摘した発言に対する反発とも関係がある。 件…
法の近代とポストモダン作者: 海老原明夫出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 1993/10メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (4件) を見る 村上淳一還暦記念。 木庭顕「Savignyによる占有概念の構造転換とその射程」 和仁陽「サヴィニー・ギュンタ…
http://soc.meijigakuin.ac.jp/gakka/?cat=36 はいずれ消えますから。================ お久しぶりです。 本来であれば今日は、年度の初頭にアップしたご挨拶でお約束していたお話の続きをするべきなのですが、期間も空きすぎましたし、ちょ…
またしても用意したレジュメと全然関係ないことをしゃべったよ。即興でしゃべったことを基にここに書いておくよ。 ========== 社会学は経済学や政治学と並んで「社会科学」の仲間とされますが、日本の大学では大体社会学科は(もちろん、社会学部のないとこ…
その昔書いたメモ。何かがまだ欠けている。たとえば「単なる遭難者にとっての、遭難者同輩を助ける義務と、救助隊員にとっての遭難者救出義務、そして為政者の義務」の比較検討とか。 本来登山とか危険なアウトドアスポーツに詳しくない人間の論じるべきこと…
前回の続きです。相変わらずいい加減。 リチャード・ジェフリーのベイジアン意思決定論というのはThe Logic of Decision作者: Richard C. Jeffrey出版社/メーカー: University Of Chicago Press発売日: 1990/07/15メディア: ペーパーバック クリック: 12回こ…
前著の付録では社会学的全体論とクワイン=デイヴィドソンの意味・信念の全体論との対応付けと統合という課題が手付かずのまま放り出されていた。 その宿題を果たすべく書きなぐっているメモ。そのおかげでようやくベイジアンとかラムジー哲学とかも齧る覚悟…
『政治神学』冒頭の、「主権者とは非常事態についての決断者である」という命題には、実はごまかしがある。ここでの「決断者」とは、実は「決断権者」である。 シュミットはこの命題において、革命的状況の中で、誰が闘争に勝利して決断を下すかという事実の…
Out of Revolution: Autobiography of Western Man作者: Eugen Rosenstock-Huessy出版社/メーカー: Argo Books発売日: 2007/08/01メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (2件) を見る あんまり大部なので「中間考察Transition」から手を付けているの…