2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『消え去る立法者』合評会(9月9日・慶応義塾大学三田キャンパス)を終えて(続々)

繰り返しになるが、社会契約論の図式は、神の立法とはことなり人々の合意へと国家の存在理由をおおいに「民主化」しているように見えるが、「あらかじめ先取りされた、予定された結果としての目的が原因となる」という目的論的図式は共有している。モンテス…

『消え去る立法者』合評会(9月9日・慶応義塾大学三田キャンパス)を終えて(続)

もう少し「回顧的倒錯」の話をしよう。 遡るならばニーチェということになるのだろうけれど、フーコーの受容とともに我々は「系譜学」という方法になじんだ。永井均の言い回しを借りればそれは「現在の自己を成り立たせていると現在信じられてはいないが、実…

『消え去る立法者』合評会(9月9日・慶応義塾大学三田キャンパス)を終えて

王寺賢太『消え去る立法者』はディドロ研究者として世界の最前線を担う著者がディドロについて論じるための前振りとしてモンテスキュー、ルソーに遡ったもので、同じ主題を継承してディドロを論じる続篇が予告はされているものの、その概略は終章に提示され…

木庭顕「10兆円ファンド」(法律時報95巻6号)へのコメントとリプライ

2023年5月30日(火) 21:56 稲葉振一郎 木庭先生 ざっと拝読しましたが、やや気になるところがございます。資本主義の本義は資産の商品化、市場化というところにあり、なおかつそれが過度の投機化によって消耗されることなく守られ、資産のゴーイング・コンサ…