メモ

『atプラス』1号

『at』リニューアル。権丈善一先生に尽きる。あと「経済と経済学」特集で落合美砂編集長だというのに『エコミシュ』組が出動していないのが趣深い。 湯浅誠インタビューを読んで、「(少なくともある種の)運動家は官僚や為政者よりむしろ経営者に似ているの…

とりいぞぎ栗本薫「ぼくら」三部作について

『時代』『気持』は風俗小説として読むことができる。ことに『気持』は「オタク」という言葉もまたおそらくは「やおい」という言葉もなかった頃、もっとも早期におけるコミケ周辺の状況を描いたものとして注目に値する。『世界』は、まあ、なかったことにし…

はだか祭りでしゃべれなかったこと

あれからいろいろ考えて「疎外論それ自体は必ずしも危険というわけではなく、否定する必要もない」という結論に達した。しかしこの結論にたどり着くためには、マルクス主義哲学の枠からは出る必要があるような気がする。 これは基本的には、クワインやデイヴ…

はだか祭りあとの祭り

とゆうことでレジュメを晒します。 ================================ 松尾匡『はだかの王様の経済学』コメント 2009.7.11 稲葉振一郎 評者の松尾へのいまだ満たされざる期待――旧著『近代の復権』以来の――はむしろ以下の二点にかかわっている。1.「疎外」…

『新劇場版・破』を再び見てきて

やはり何が引っかかっているのかというと「逆行」になっているというあたりが癇に障っているのだと改めて確認した。実は他のことについてはほとんど引っかかりはないのだな自分。 公式が二次創作というか、ファンフィクション的な振る舞いをしてしまうことへ…

入門教科書といえば(続)

これもサルベージ http://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20060222/p4

入門教科書といえば

こんな話を5年前にしていたなあと思いだしてサルベージしてみる。 http://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20041125/p1 http://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20041126/p3 もしもこの合作教科書より前に私の単著教科書ができあがるようなことがあれば「腹…

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』を見てきたよ。

見に行かねばなと思ってたところに某誌が特集の原稿依頼をしてきたので川崎のレイトショーに行った。 ――感想。 権利者による二次創作。ジャンル:「本編再構成」ないし「逆行」。 以前前作『序』について 破綻することによってかえって人気をつかむという、…

これはひどい

http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20090616 この人に幻滅してずいぶんになるが今回はちょっと違う意味でもひどい。 あのさ、村木局長本人は、まだ単なる容疑者に過ぎないんだよ? 検察と正面切って対決して、否認を続けてるんだよ? 真相はまだ全然明らかじゃ…

栗原裕一郎「『ゼロ年代の想像力』に掲げる「決断主義」は果たして「ニヒリズム」なのか」

読みました。おっしゃるとおりかと存じます。大航海 2009年 07月号 [雑誌]出版社/メーカー: 新書館発売日: 2009/06/05メディア: 雑誌購入: 3人 クリック: 17回この商品を含むブログ (6件) を見る

あれえ?

稀少性が問題ではなくなる無限の経済成長の可能性に真剣にコミットしてたのは、小飼弾さんの方じゃなかったかな? http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50678452.html http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50680032.html ご自分の考えの誤りに…

フーコーの二つのリベラリズムと憲法学

労使関係論サーベイをおっぽって読んでいたAghion & Howitt(500ページだけどAcemogluを見たあとでは短くてやさしく見える! ふしぎ!)を更におっぽって無謀にも石川健治=駒村圭吾=亘理格「論点講座 憲法の解釈」(『法学教室』連載)を延々自分でコピー…

思いつき、というか識者に問う

ウェッブ以来労働組合や労働政策による労働条件規制についての伝統的なエクスキューズとして「経営に合理化・技術革新へのインセンティブを与える」というものがあった。これはもちろん成り立ちうるロジックであるが、当然に規制緩和論者による「規制は所詮…

気になったところを抜書き

以前のメモ http://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20081127/p1 との関連で。 軍事学入門 (ちくま文庫)作者: 別宮暖朗出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2007/06/01メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 85回この商品を含むブログ (12件) を見る 民間人一万人…

80年代〜90年代における日本の近代政治経済史研究におけるグラムシ・ヘゲモニー論の影響

大上段に振りかぶりましたが、とうとうと弁じたてるんじゃなくて文献紹介だけで申し訳ないんですが。 この時代の日本経済史では、まあしばらく前に20年代研究が隆盛して、それから30年代から更に戦時統制経済をみんなで手分けして研究して、って感じだったん…

麻布中学・高校の夏休み読書リストを(続)

http://www.azabu-jh.ed.jp/syuppan/suisentosho2008.pdf 公民・政経・倫理 屑の方が多いのでいちいちダメ出しをしてると大変なことに……。 法律・政治系では、とりあえず渡辺洋三の本はすべて却下。ごみ箱直行。 憲法入門だったらとりあえず今は樋口陽一・長…

麻布中学・高校の夏休み読書リストを

みんなで添削してあげよう! http://www.azabu-jh.ed.jp/syuppan/suisentosho2008.pdf 音楽 とりあえず西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 (中公新書)作者: 岡田暁生出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2005/10/01メディア: 新書購入: 25人 クリック: 169回…

Fed adopts a de facto inflation target of 2%.

http://www.ft.com/cms/s/0/2c326ef0-fe28-11dd-932e-000077b07658.html?nclick_check=1 ひさまつさん経由。

『最終批評神話』の人からのご批判

http://d.hatena.ne.jp/BST-72-Chihaya/20090218/1234970578 いろいろあるようだけど―― *『ひぐらし』と『Fate/stay night』の違い、ことに前者は中途エンドは全てバッドだが後者はそうではないという指摘はその通り。前者では主人公のアイデンティティは分…

日本の労使関係論をめぐりコピペ

氏原熟練論の継承としての小池「知的熟練」論 戦後日本の労働調査の中心となったのは,大河内一男,隅谷三喜男,氏原正治郎を代表とするグループであった。内部にさまざまな見解の違いをはらみつつも,このグループは,敗戦直後からじつに精力的に実態調査を…

批評の方法としてのファンフィクション(続)

断片的メモ。 *近代文学のオリジナリティ、sincerityへのこだわり以前の文芸を見れば当然ながら、伝統的に共有された主題の使い回しというものは散々普通に行われてきたことであるが、しかし近代においても演劇というジャンルははっきりと「同じ主題の変奏…

『オタクの遺伝子』続編のための覚書

方法論的メモ オタク系サブカルチャーの研究をポストモダン社会論として行うことにはそれなりの危険がある。近年のマンガ研究において浮上した「反映論」と「表現論」との対立という偽の構図に照らしていえば、もちろん「表現論」が正しい――というかその次元…

「労使関係論」とは何だったのか(3)

段階論のベンチマークとしては大別して上部構造的な「政策」「法制」「イデオロギー」と、下部構造的な「生産力」「産業組織」との二通りが考えられる。そして両者の予定調和は必ずしも保障されていない。結論から先に言えば、後者の契機に着目したうえで、…

「労使関係論」とは何だったか(2)

「段階論」 宇野弘蔵の独自のマルクス経済学体系において、労働問題研究に対して、のみならず日本の社会科学全般に対して最も影響力が大きかったのはその「段階論」の部分である。段階論自体は宇野理論の独創ではもちろんなく、20世紀マルクス経済学そのもの…

終わらせることの困難

ということについてオタク系サブカルチャーの素材を念頭に置きつつ大澤真幸が『不可能性の時代』で語っていたが、これは何も今の時代の日本特有の問題ではなく、様々な表現ジャンルの爛熟期に起こることなのではないか。 たとえば―― そもそもロマン派の作曲…

戦後日本の労使関係論・サーベイのための文献リスト紹介

文献研究日本の労働問題 (1971年)作者: 労働問題文献研究会出版社/メーカー: 総合労働研究所発売日: 1971メディア: ?購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る 初版66年の増補版。60年代半ばまでの「東大学派」による文献サーベイ。71年に…

労使関係論とは何だったか

hamachan先生の 本来労働問題というのはどぶ板の学問である労使関係論が中心であって、それに法律面から補完する労働法学、経済面から補完する労働経済学が、太刀持ちと露払いのごとく控えるというのが本来の姿。 これはちょうど、国際問題というのもどぶ板…

アセモグル「人的資本政策と所得分配」とりあえずひと区切り

WASSHOIさんの投稿でとりあえず全文がいったん日本語になったようです。あとは直しですね。 ことあげした私が何もしない間に、驚くべきスピードで進行しました。皆さん本当にありがとうございます。 早速来年度の講義などでも使わせていただきますね。 http:…

最近気になったものを抜書き

不可能性の時代 (岩波新書)作者: 大澤真幸出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/04/22メディア: 新書購入: 14人 クリック: 191回この商品を含むブログ (169件) を見る 『ゲーム的リアリズムの誕生』の中で、分析・解釈されているいくつものゲームや小説を…

今日も平和な経済学村

――としかぼくは思っていないんですが。 http://d.hatena.ne.jp/hiroyukikojima/20081226/1230274589 よーわからんのですが、「辛辣な悪意」とか誰のこと? ぼく? 田中さん? arnさん? ドラエモン氏? 他の人のことは知らんですよ? ぼく個人は小島さんに「…