80年代〜90年代における日本の近代政治経済史研究におけるグラムシ・ヘゲモニー論の影響
大上段に振りかぶりましたが、とうとうと弁じたてるんじゃなくて文献紹介だけで申し訳ないんですが。
この時代の日本経済史では、まあしばらく前に20年代研究が隆盛して、それから30年代から更に戦時統制経済をみんなで手分けして研究して、って感じだったんですが。
理論枠組みとしては「独占段階への移行」から更に「国家独占資本主義」とかいうてましたけどふたを開ければベイン流の産業組織論(つまりゲーム論以前のold IO)だったりしたわけで。
そしてその一方で影響力があったのがアントニオ・グラムシのヘゲモニー論で、もろにその枠組みを用いた研究としては労働史ですでに紹介済みの東條、佐口、そして農村史で
- 作者: 長原豊
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- 作者: 庄司俊作
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でしたか。
どちらも積読ですが。大原社研のオンライン書評が読めますが、どちらも相当辛口ですね。
でもこの研究潮流はその後どうなったんでしょうかね。庄司氏は地味に着実に農村史やってるようだけど、長原氏はこの本ではネオマルクス主義と同時にゲーム理論、新制度派経済学なんかも意識した議論を展開してたのに、今やすっかりポストモダン風カルスタの人になっちゃって。
東條さんは長い沈黙から復活したけど、さてどうなりますか。
しょうもない思い出話をしますと、80年代というのは代々木系の若い衆がフランクフルト学派だのアルチュセリアンだのグラムシだのを一所懸命に読むばかりかおっかなびっくりと論文などで言及し始めた時代なのですよ。この頃はまだネオマルクス主義は学術的にというだけではなく政治的にも正しくなかったのですね。
代々木系の若い衆がフランクフルト学派どころかやれアガンベンのジジェクのという昨今からすれば隔日の感がありますが。ええのかわるいのか。
――文献のあらかたを日本に送ってしまって、ネットでオタクな文章読み漁りつつ、こんな風に脳内在庫の整理をするという非生産的な日々を送ってます。社会学教科書草稿の大オーバーホールを今月中には終えんとならんのですが。