メモ

12月13日シノドスセミナー・メモ

お客様の半分以上が編集者ってどういうことなの……。 ついでになぜか仁平典宏さんが来ていました。 配布はしなかったものの用意しておいたメモに基き、当日しゃべったことのアウトラインを公開します。 ========= 社会学の居場所 稲葉振一郎 1 なぜ拙著『社…

東京大学教育学部教育学特殊講義「統治と生の技法」

実際にはこの日しゃべったことは拙著『「公共性」論』の要約だったりするわけだが。「公共性」論作者: 稲葉振一郎出版社/メーカー: NTT出版発売日: 2008/03/01メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 175回この商品を含むブログ (70件) を見る *「ネオリベラ…

東京大学教育学部教育学特殊講義「統治と生の技法」

*フーコーの「リベラリズム」(承前) ただしフーコーは、アダム・スミスの系譜のみをリベラリズムと見なしているわけではないようだ。 公法に関する根本的で本質的な問題、それはもはや、十七世紀および十八世紀とは異なり、主権をどのようにして基礎づけれ…

思いつき

世界の中の資源を有効活用するためには、その保全と活用から利益を得られる特定の誰かの管理下に資源を配置すればよい。ということで所有権制度が要請される。 いや、所有権制度が仮に「あるものをある特定の主体の身体の延長とする」ということを意味すると…

東京大学教育学部教育学特殊講義「統治と生の技法」

今日はグダグダでしたすいません。 話したことと(いつも以上に)だいぶ違いますがあげときます。 *フーコーの「リベラリズム」(承前) フーコーによれば中世から17、18世紀までの、法権利による主権者の、その統治の制限が問題となっていた局面においては、統…

村木厚子保釈

http://www.asahi.com/national/update/1124/OSK200911240104.html この事件はどうも胡散臭い。

東京大学教育学部教育学特殊講義「統治と生の技法」

*フーコーの「リベラリズム」 『安全・領土・自由』に続く『生政治の誕生』の主題はリベラリズムであるが、それはあくまでも「統治」として捉えられている。すなわちフーコーに従うならばリベラリズムとは「政治」であるよりは「政策」として理解されるべき…

ベーシック・インカムの思想的核心?

このように、福祉国家の下で、国家の意思が介在する形で行われる政策と、ベーシック・インカムのように無条件の給付によって行われる政策との大きな違いが現れるのは、働くことの自由をめぐる論点であろう。福祉国家(厳密には、ケインズ=ベヴァレッジ型福…

東京大学教育学部教育学特殊講義「統治と生の技法」

そもそも学問としての、そして近代人の基礎教養としての西洋政治思想史にはれっきとした「本流」というものがあって、そこにはボダン、マキアヴェッリ、ホッブズ、ロックといった名前が大きく刻み込まれていて、中心的なテーマはまずはいわゆる「宗教改革」…

東京大学教育学部教育学特殊講義「統治と生の技法」

今日はICレコーダーを忘れた。まあ録音したのをそのまま起こしても使い物にならないし、いいか。 *フーコーの「統治性」 まずは近世絶対主義の内政国家における統治の論理――フーコーの言葉でいう「統治性governmentality」「統治理性governmental reason」…

今朝の朝日の「オピニオン」欄で

勝間和代と宮崎哲弥がリフレを煽っています。 http://twitter.com/kazuyo_k/status/5273875034 ミヤテツを転向させるにあたっては拙著もささやかながら役に立ったと仄聞しております。勝間女史は飯田君の影響か? 追記(11月1日) そういうことでもないらし…

内閣府参与の

宮崎徹っていったい何者よ? シンクタンク上がりのようだけど、アカデミックな経済学界、論壇では全く無名……。著書は1冊、それも大して話題になってない……。 『社会運動』誌にちょこちょこ書いてたようだけど、専門はボランタリー経済とかでマクロに造詣が…

東京大学教育学部教育学特殊講義「統治と生の技法」

「今日もフーコーの話があんまりなかった」との感想が……。先は長いよ君。 *段階論についての復習とフーコー権力分析の暫定的位置づけ マルクス経済学の段階論は、産業革命を基準に、それ以前が重商主義段階、以降が自由主義段階とされ、典型国はイギリスと…

東京大学教育学部教育学特殊講義「統治と生の技法」

病み上がりなので講義は舌足らずになった。これで補ってくれ。 *マルクス主義の不健全さ(承前) 結論から言ってしまえば、資本家と労働者の階級対立、前者による後者の支配と搾取という問題であるが、正統派のマルクス経済学において、この搾取関係が自由…

明治学院大学「社会学2」

本日の範囲:教科書第2講(前回台風で休講につき) ・合理的経済人モデルの正当化の論法(テキストとは別) 現代の経済社会では、見ず知らずの他人と、場合によっては直接会うこともなく取引を行うことが普通である。それゆえ、相手の性質・行動パターンに…

吉澤昇先生

小玉重夫さんに挨拶して、教育学研究室の紀要をいただいた。そこでこの方の名前を初めて知った。http://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/dspace/handle/2261/25432 ここで傷ついて東大を去った助手というのは楠原彰先生だろうか。

東京大学教育学部教育学特殊講義「統治と生の技法」

第2回目というか実質的に初回。(ちなみに昨日の戸塚の「社会学」は台風で休講。) ある時期までプリントを配るということをしていたのだが、何だか紙ごみを大量生産しているだけという気がしてきて、ここしばらくはもっぱらしゃべりと板書のみ。事前に用意…

民法(債権法)改正をめぐって

http://d.hatena.ne.jp/n1516e/20090924/1253740440 先日本郷で佐口和郎さんに聞くまで、内田貴先生が東大をやめたことを知らなかったよ。 それにしてもこれは「内田契約理論が実定法化される」ということなんですか?

東京大学教育学部教育学特殊講義「統治と生の技法」

初回はガイダンス。 履修者の半分ほどは他学部生。うち半分ほどは社会学専攻。何でもこの教育学部非常勤枠は単位の草刈り場らしい。どうしてくれようか。 金森さんや白水さんの講義があった割にはみんな存外フーコーご本尊を読んでいないでござる。「高偏差値…

明治学院大学「社会学2」

せっかくだからしゃべる前・後の思い付きをメモっておく。 ―― 本日の範囲:教科書第1講・あたかも異言語間での翻訳は可能なのに、ひとつの言語への収斂が起きないように、社会学の諸理論間での収斂も起きない。――なぜか? ・因果関係の同定は技術的な応用実…

禹宗ウォン「日本の労働者にとっての会社」『歴史と経済』第203号(2009年4月)

「複線管理」が日本の人事労務管理のもっとも大きな特徴であった.「複線管理」とは,上位身分・資格の一定枠は初めから別コースで確保しておき,残りを多数に競わせる管理方式である.「年功」は戦前日本の労務管理のコアとはいえない.それはむしろ労働者…

想定される着地点(のひとつ)

「資本―賃労働関係」を「資本主義の本質」から外す(そもそも「本質」論をしても仕方がないと言えばそれまでだが)。 一応前々著でこっそりやっているのだけどね。「公共性」論作者: 稲葉振一郎出版社/メーカー: NTT出版発売日: 2008/03/01メディア: 単行本…

『社会学入門』書評より

竹内洋氏(『熊本日日新聞』8月2日「竹内洋が読む」) 社会学は、近代の自意識として時代の先駆となったが、社会的なるものの融解によって社会学は時代に追いこされつつある。 ジグムント・バウマンですか。 井上寿一氏(『読売新聞』9月13日) 「いったい人々…

官房学とポリツァイ学についての日本語・英語文献・補足

Keith Tribeは社会学出身の経済学史家で、クーン以降の科学史の知見を踏まえてフーコー的エピステモロジーとか、大学の講座や教科書に着目した科学社会学的な「制度化」アプローチでイギリスとドイツについて研究してきた。邦訳は『経済秩序のストラテジー』…

官房学とポリツァイ学についての日本語・英語文献

近世カメラールヴィッセンシャフトとポリツァイヴィッセンシャフト(この時代はポリツァイ学は官房学の下位部門) ドイツ政治経済学―もうひとつの経済学の歴史作者: トマスリハ,Tomas Riha,原田哲史,内田博,田村信一出版社/メーカー: ミネルヴァ書房発売日: …

「リバタリアニズム」概念について

リベラリズム理論の文脈においては、前章で見たようなひ弱な/他律的リベラリズム、あるいはその法的・政策的側面を重視する保守的自由主義の場合には、安定性の方が重視されます。人間を取り巻く環境は多層的であるわけですが、保守的自由主義者は人を取り…

「職場」というマジックワード/バズワード

これまでの日本の労働問題研究で用いられてきた主要な分析の枠組は,重工業大経営での労務管理や労使関係に注目する際に,職場のあり方に焦点を当てて分析を行うという特徴を持っていた.職場はいくつかのレベルで捉えられ得るが,これまでの研究は職長(作業長)…

下田平裕身「<書き散らかされたもの>が描く軌跡 : とをつなぐ不確かな環を求めて : という営みにこだわって 」

https://soar-ir.shinshu-u.ac.jp/dspace/handle/10091/656 「氏原教室」あるいは「東大社研グループ」からのはぐれもの下田平裕身氏の回顧録。 いろいろな意味で大変に貴重な証言である。 文中より二点だけ紹介しておく。成熟のなかの危機―労使関係現場から…

カール・シュミットの中立論についての論考

果たして、正当戦争論と中立は論理必然的に相いれないものであろうか。たしかに戦争が、公的秩序を脅かす「犯罪者」とそれを取り締まる「司法機関」との間の武力衝突として把握される場合には、両者の法的・倫理的地位は明らかに異なっており、そこにおける中立を法的…

『思想』2009年8月号ネグリ特集から

スピノザの面白いのは、エチカとポリチカを異質なままにしておいて、哲学者がよくやるように弁証法的に綜合しようとしないことだ。国家の論理からすれば市民は自己の権利のもとにはなく国家の権利のもとにある。だが理性に導かれる人間はたとえ国家の法に服して…