内閣府「社会保障・税一体改革の論点に関する研究報告書 」より

 吉川洋・井堀利宏両氏主導の主文と有識者コメントからなる。
 第1部は逆進性を焦点に消費税と社会保障について。主文では「引退後も含めた生涯所得ベースで考えれば逆進性はそれほどではない」というが、ロスジェネを中心とする流動性制約のきつい(貯蓄がない、借金できない)層を軽視しすぎという批判がありうる。
 第2部では消費税とマクロ経済との関係について。主文では97年の消費税引き上げ後の景気後退について、「必ずしも消費税の影響ではない」と主張し、「増税のタイミングは、不況期は避ける一方で、好況期においても景気後退の引き金となる危険があるので、契機の上昇局面だが頂点ではないところをねらう」と論じた上で、国債が積みあがる前に早めの増税を主張している。しかし有識者の中には、明確に消費税の景気引き締め効果を指摘し、現時点での引き上げに明確に反対する声もある(チャールズ・ユウジ・ホリオカ、八田達夫)。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/syutyukento/dai9/siryou3-4.pdf


 このタイミングでは「セーフティーネット」論は裏目にしか出ないと思われるが如何に。