ううむ

浜野保樹『表現のビジネス コンテント制作論』(東大出版会)、羊頭狗肉というか、ぬるい本というか、しかしそのことを一番わかってるのはたぶん著者自身なんだから気の毒というか、しかしとにかく帯の「これがヒットの法則だ。」はサギだから止めれ。
題名は大きく構えているが、基本的に映画の事例に偏っていて、だからといって映画に集中するというわけでもなく中途半端に一般論志向のどっちつかず。もちろんメディアミックス戦略論にもなってないよ。
更に言えば、「なぜコンテント産業とはエンターテインメント産業でありフィクション産業なのか」という(この間大塚英志が必死に考えているであろう)問いかけがまったくないのもこまりもの。これって決してないものねだりではないと思うんですが。だってこの人の本業ってメディア論でしょ。経済学者でも経営学者でもないんでしょ。
産業分析としてぬるいのはしょうがないよ。サボってるのは経済学者・経営学者なんだから。しかし経済学者・経営学者に対するメディア論者の比較優位って、どのへんにあるのか、きちんと考えた方がいい。