労働市場における学校教育の役割について

 常識の確認。
 古典的な解釈として、(1)人的投資の場、人的資本の供給主体、生徒の能力を高める(2)金融機関同様の情報生産(シグナリング理論の解釈)、生徒の能力の識別機構となる。
(2)に関連し、なぜ学校は競争入札で入学者を決めないのか――逆選択への対処。金利を上げ過ぎると踏み倒しをたくらむ顧客ばかりが集まるのと同じ理屈で、高い学費をオファーするやつから入れると己惚れの強い不誠実な馬鹿ばかりが集まってしまう。cf.ミルグロム&ロバーツ『組織の経済学』に解説あり。
 ともすれば「人的資本論によれば学校はプラスの経済価値を生産する社会的に有益な主体だが、シグナリング=スクリーニング理論によれば……」といった感想を素人は抱きがちだが、教育市場が人的資本取引市場だとしたら、学校は銀行のような機能も果たしている、ということになるので、情報という付加価値を生み出していることになる。

組織の経済学

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