をめぐるとりとめのない感想(続)

 むろん即興の意義、描きながら考え、考えながら描くこと固有の意義、描きながら作者自身が成長していくことに付き合うことは長期連載マンガを読む最大の楽しみではある。
 昨今では『パンプキン・シザーズ』の展開が非常に楽しみで仕方がない。
 この作品はおそらくは当初のコンセプトとしては「近代戦の絵面で『ベルセルク』をやる」というもので、それに近年流行の「ツンデレ」をまぶしてみました、という感じだったのだが、そうした「竜ならぬ戦車相手に歩兵が肉薄して近接戦闘」という見せ場を作るために、世界観上さまざまな無理をしなければならなくなっていた。つまるところ「戦車があるのに機関銃がない世界ってどうよ」ということである。(もちろんこれ以外にも「いいとこ20世紀初頭レベルの軍事技術体系の中でバイオ技術による狂戦士ってどうよ」とかなんとかいろいろある。)
 ところがここしばらくの展開――おそらくはこの辺で物語は折り返し、完結に向けてまとめに入るのだろうが――は、まさにそうしたご都合主義的無理を逆手に取り「なぜそのような不自然な技術体系が成立しているのか、そのような世界はどう動いていくのか」というかなり大上段なSF的謎が物語のメインテーマとして浮上してきている。
 あともちろん、前から言っているように、このまんがは青少年向けの政治教育まんがとしてもなかなかよくできていることを忘れてはならない。「治者の矜持」から「市民的徳」、そして「民主政の本義」へとテーマは深化しつつある。