座談会25頁中丸々6頁(補足も入れると8頁強)を占めて座談会における話題提供というよりそれ自体で1本の論文になってます。何という俺様ぶり。
最高裁の「職業」論(「薬事法判決」「小売市場判決」)
・人格の発露
・社会的機能分担
22条1項の「職業選択の自由」が「職業(営業)の自由」にまで拡大されつつ、それに対する社会的制約にまで説き及ぶ。
日本版オルドリベラリスムス? 「護送船団体制」を公序として志向する?
ここでの自由の主体は法人も含むことに注意。(八幡製鉄事件)
「営業の自由」論争の含意
22条1項の「職業選択の自由」は事業者も労働者も(法人も?)含めた人一般の人権であるが、事業者の「営業の自由」(条文にはない)、労働者の「団結の自由」(28条)は人一般の権利としての人権ではなく、公序である。
その「契約の自由」への含意
ありうべき解釈――「契約締結の自由」は人権に属するが、「契約内容形成の自由」かなりの程度公序に属する。
ただこれでは雇用関係において、企業の側に採用の自由があることになる=私人間効力について否定的となる。(三菱樹脂事件))
「場」
薬事法判決は西ドイツの判例を参考にしているが、ドイツ憲法(ボン基本法)にあって日本国憲法にない契機として、「職場」「職業訓練」がある。日本の憲法には「職業」はあってもそれを支える場としての「職場」がない。
しかしそれを考えることなくして、なぜ職場の問題(雇用問題を含めて)が人権問題となりうるのか、を理解することはできない。
(「表現の自由」が意味を持つためにはパブリック・フォーラムがなければならない。)
(「権利」の前提には「権利能力」=身分がある。)
現代社会では「職場」の底が抜けつつある――国家・市民社会、企業、市場と言った他の様々な「場」との関係が不安定化・非自明化している。
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労働研究を踏まえての当方からのコメント
日本の労働研究は近代法人企業におけるそれを含めて、雇用関係一般を身分関係と考えるところに到達した。ただしそこでの「身分」概念は今なお不明確(悪い意味で社会学的)である。
しかし少なくともここまではいえる。契約概念と身分概念は相反しない。雇用関係は身分関係を前提としそれを再生産する契約関係である。契約の自由の確立以降も、契約内容は歴史的慣行、そして政策(つまり公序)によって規定されている。
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