「占有」って何?

 遠藤著を読んでいると、「占有権」というものをどう考えるかというのが実は民法上のみならず憲法上もすごく重要であるような気がしてきたのだが……。
 結局のところ人権というのはある種の身分のことに他ならず、身分というのは財産と不可分である。(身分とは単なる人の地位のことではない。生態学的な言い回しを使えば「ニッチ」であり、つまりはその地位ゆえに利用可能となり、その存在を支える社会的・自然的な資源−−つまりは排他的所有物をその典型とする「財産」とのセットなのだ。)
 自然権としての人権という概念に危うさがあるとすれば、人権を支えるこの意味での財産とは何なのか、が見えにくいところにある。『「資本」論』での拙論を延長すれば「労働力=人的資本」がそれだということになるのだろうが、やはりそれではどうにもパンチに欠ける、というか足りない。
 そこで居住権を含めた占有権ということについて少しまじめに考えてみた方がよいのだろう。自分のものではなく、賃料も払っていないある場所に、一定の限度はあれ追い出されずに居続ける権利というものがあるとして、それは何か?

 でも、何をどう勉強すればいいのかな? 手元の民法入門書じゃ何とも心許ない。