ここで素人臭い質問をして識者の教えを乞う

というわけで。


 そもそも「サブプライムローン」ってそんなにけしからん仕組みだったの? やっちゃいけないことだったの? 危ういっていえば危ういだろうけど、そのおかげで家を持てた人もいたんじゃないの? 今回たまたま、それが金融危機の引き金になっただけで、よそで爆弾が破裂することもあり得たんじゃないの? これまでも、そしてこれからもそうでしょう? 

 
 それに投機を助長するとしてこれまでもサブプライムローン以上に悪者だった「デリバティブ」っていうか先端的金融手法にしたって、ただ単にバブルを生むだけの存在だったってわけじゃないでしょう? 先物があるおかげで、普段はリスクをヘッジできているわけだし。


 そして何より大事なことは「バブルは事後的にのみ「バブル」と判定できる」ってことじゃなかったの? 厳密に言えばはじける前の好況期にだって、調子に乗って不正なことをやったやつは罰されるべきなんであって、バブルが弾けたからってその責めで罰されるわけじゃないはずでしょ?


 今後「排出権取引」をはじめとする環境ファイナンスの発展が見込まれるわけだし、それ以外にもいずれは一種の人的資本市場としての「教育ファイナンス」がどんどん発展するのではないか、という気がしている。「貧乏人が学校に行けない」という不公平の緩和には、もちろん税でファイナンスする無拠出の公教育の充実が基本だけど、今後途上国を含めて更なる中高等教育、職業教育へのニーズが高まるにつれ、そしてそれに公教育財政が追い付くとは思えないので、民間奨学金市場の発展は(国ごとに事情は異なるだろうが)避けられないんじゃないか。実際たとえば小塩隆士氏なんかも「教育はオプションとしても捉えられる」と論じてたし、現状でもすでに教育投資は一種のリアルオプションであることは否定できないのではないか。
 この教育投資のシャドープライスをより的確に評価する(と標榜する)金融機関による、今よりさらに一歩も二歩も踏み込んだ特異な学資保険商品が出てきたら、そしてその「バブル」がはじけたら――とか考えると無責任な妄想としては面白い。しかしそれ以上に排出権の先物市場のバブルとその崩壊なんていったいどんな悪夢を引き起こすことやら……。


 だからといってそういう民間奨学金それ自体を「危険だからやるな!」などという気には到底なれない。それによって教育の機会は、絶対的には広がるだろうから。もちろん公教育の更なる充実は多くの場合に必要だろうが、いわゆる「学歴インフレ」効果のことなど考えれば、それは民間奨学金を無用にするより、むしろそれをあおる効果さえ持つのではないだろうか。