oさんのコメントより(続々)

http://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20080916/p3
での結論を再確認する。
 議論にどのような混乱があったのか?


「現状が不完全雇用であるならば、まずはそれを解消したうえで、それから――というよりもそれと並行して再分配をしようよ。たぶん失業の解消それ自体にも平等化効果があると思うよ。」
という主張と、


「現状は完全雇用っぽいから、再分配をしようとすると必ず文句が出るよ。だからまずは生産力をあげてから、再分配しようよ。その方が文句が出にくいはずだよ。」
という主張が、


きちんと区別されずにないまぜに主張されていた。
――ということでいかが?


 前者に対していまさら文句を言うのは悔い改めない新自由主義者というか市場原理主義者というかなんだかよくわからない人だけ(市場そのものをむやみにありがたがるモラリスト)だろうから無視するとして、後者に対してありうる批判は?


1.「生産力を上げてから」が気に食わない。生産力水準がどうあろうと、いまいる人々の間での一定の生活水準と平等を確保することこそが重要だ。


2.「生産力を上げてから」と簡単にいうが、市場の制度的基盤の確保やその他の公共財の供給を除けば「生産力を上げるための有効な政策」なるものは直接的にはほぼ皆無で、結局は市場に任せるしかないのではないか?


といういわば真逆の方向からの批判をとりあえず二つ思いついたよ。 


注:ここでいう「生産力」って潜在GDPのことでさえなくて生産技術(と資源)のことだよ。実際の供給、生産水準は市場での需給均衡を通じて決まるはずだから、同じ生産技術のもとでも変わりうるでしょう?