いただきもの

 

戦後史を生きる 労働問題研究私史

戦後史を生きる 労働問題研究私史

 

 これは面白い。弟子二人の遠慮ない突込みに臆せず激せず柔らかにしかし確実に答える回顧録

 東大で経済学部長と生協理事長、埼玉大で学長、成城学園で学園長を歴任された兵藤先生は、東大紛争、国鉄解体、総評解散、国立大学法人化、の生き証人。

 戦時中も相対的に長閑だった郷里挙母(現豊田市)の幼少期の思い出とか、東大紛争時に、同門の中西先生や他の同僚と一緒に、師匠の大河内一男総長に引導を渡しに行った話とか、国労弁護団を「八百代言」と苦々しく思っていた話とか、埼玉大群馬大統合構想とその顛末とか。少なくとも青木昌彦の『私の履歴書』と同じくらい面白いし資料的価値はもう少し高い。

 併せて読みたいのは

高梨昌「私の労働問題研究45年の歩み―社会との関わりのなかで―」

下田平裕身「<書き散らかされたもの>が描く軌跡 : <個>と<社会>をつなぐ不確かな環を求めて : <調査>という営みにこだわって」

 労働問題研究者 戸塚 秀夫 自選小論集