この道はいつか来た道
ベネズエラ:大統領さらに急進化…電話・電力を国営に
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/afro-ocea/news/20070110k0000m030097000c.html
本音を言えば、本当にぼくはぞっとしている。
古いエントリを再録する。
CIAなどの介入によるアジェンデ社会主義政権潰しが汚い真似であり、そのあとのピノチェト軍政がろくなもんじゃなかったのはそのとおりだろう。しかしではあのクーデターがなくアジェンデ政権が生き延びていたら、チリはどうなっていただろうか? せいぜいよくてカストロのキューバと同じような状況に落ち着くのが関の山ではなかっただろうか? もちろん、もっと悪くなった可能性もある。
関曠野なども言うように、社会主義、あるいはマルクス主義の運命には何と言うか、歴史の底深い悪意のようなものを感じざるを得ない。抑圧や搾取、暴虐に抵抗するまぎれもない正義の運動が、マルクス主義の旗を掲げてしまった――掲げざるを得なかった? という事実。そして幸運にも(不幸にも?)勝ってしまった運動が、マルクス主義や社会主義、共産主義による社会再生を試みたがゆえに、時にかつて以上の地獄を実現してしまったという事実。この歴史の悪魔を如何に祓うか、という難題は(中略)多くの左翼によって棚上げされてしまっている。もちろん「勝つ見込みのほとんどない闘いの最中に勝ったあとのことなど心配している暇はない」かも知れない。しかしそういう言い訳が許されるのは、苦しい抵抗の現場にいる当事者(サバルタン?)であって、遠くにいるシンパの知識人には大いに気に病む暇も金もあるはずだ。
資本主義とグローバリズムへの抵抗は時に短期的、局地的には正しいだろう。しかしその否定は、基本的には誤りだ。資本主義への抵抗を正当化しつつ、その上で資本主義を基本的には肯定する思想が必要なんだろう。
http://www.meijigakuin.ac.jp/~inaba/books/bks0307.htm
改めて、一人でも多くの方に『コルナイ自伝』をお読みいただきたいと切に願う。あと塩川伸明さんの関連書も。