昨夜7時、国立へ

 一橋の経済研究所、吉原直毅の研究室へ。太田出版の落合美砂をまじえて2時間半、『マルクス経済学の逆襲(仮)』用のトーク
 まずはローマーによる搾取と支配の区別の意義について確認、しかるのち支配という契機(生産点における労働者支配)に重点をおいた、ブレイヴァマン以後のニューレフト的「生産の政治学」の意義と限界について。マルクス主義の歴史の中で繰り返される政治主義的異端(ローザ・ルクセンブルグとかニューレフトとか)と正統派による牽制について。アナリティカル・マルクシズムは出自においては新左翼だが理論を導く精神においては、むしろ正統派に近い面(資本主義の合理性を強調する)も。
 続いて社会主義論に以降。将来社会構想(実行可能な社会主義デザイン)においては、アナリティカル・マルクシズムはいちじるしくロールズ以後のリベラリズム、とくに権利論的リベラリズムに接近する。権利の重視とか、私的所有と市場の肯定とか、その上でなおかつ分配の公正を目指すところとか。
 なぜそうなるのか? 社会主義のなかには功利主義的潮流もあり、その流れに現代功利主義者、権利とその規定たる人格の絶対性・比較不能性を重視しないシンガー、パーフィットらも位置する。彼らの平等主義とロールズら権利論者の平等主義は違う。前者は比較可能なもの同士の平等であり、後者は比較不能なもの同士の、いわば判断停止としての平等である。そしてアナリティカル・マルクシストの平等観は後者の方に近い――等々。


 終わって国立のラムしゃぶ屋へ。落合氏は「2月には出す」と豪語。ところで本タイトルはどうしましょうね。いまどき「逆襲」はちょっとねえ。