福井晴敏『月に繭 地には果実』(幻冬舎)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344007654/interactivedn-22
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 流行りもの福井に手を出してみる。しかし突端はあえて色物をとゆうことで、知る人ぞ知る『∀ガンダム』ノベライズの本編を。
 批評的ノベライズということで、キャラクターを刈り込み、かつ設定はより細かく書き込み、さすがにプロの仕事という感じで大変よくできているのですが、何だか主人公のロラン君がただのヘタレという感じで違和感あり。あとやはり女装しないと。
 あとまだきちんと読んでない後半ですが、たしかにオリジナルのテレビシリーズははっきりいって終盤のストーリーが破綻していた(各勢力ともそもそも一体何がしたいのかさっぱりわからなかった)ところを強引に雰囲気だけでまとめた(その結果あの良くも悪くもステキなエンディングがある)ものであり、そこを大胆に書き換え、かつきちんと筋を通しているところは評価すべきなのでしょうが、何だかあれですよ、みんな何だか妄執に駆られてぶつかり合って、あまりにもいつもの「皆殺しの富野」調になってしまっているのがどうも……。『∀』のポイントは「富野の憑物が落ちた」ところにあったんではなかったのでしょうか。それともこれが巷間言われているように「本来の富野構想」だったんでしょうか。