いただきもの

 ありがとうございます。
 あえてロックを排除するところが本書の肝である。この点については賛否があるだろう。そういうのもありだが私の路ではない。
 著者が強調する、ホッブズ、ルソーにおける契約の一回性、やりなおしのきかなさは確かにロックとの差異を画すると言えるが、実はロックもあるレベルでは契約のやりなおしのきかなさについて問題にしていたのである……。(ロックをグロティウスやプーフェンドルフに引き付ける解釈は妥当であろう。)
 それからスピノザの排除についてはロックの排除と同じ理屈では正当化できんだろう。


日本の賃金を歴史から考える

日本の賃金を歴史から考える

 表紙はシンプルでよいが背表紙はシンプルを通り越して空虚すぎていただけない。
 帯の惹句の通りの好著であり、再三の熟読玩味に値する入門書である。