伊藤剛『テヅカ・イズ・デッド』(NTT出版)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4757141297/interactivedn-22
http://www.bk1.co.jp/product/2598355?partnerid=p-inaba3302385
 かつて『デラべっぴん』のエヴァンゲリオン特集号で若気の至り爆発の気恥ずかしくも清新なエヴァ論でデビューしつつ、その後は師匠唐沢俊一とのトラブル沙汰などで「痛い」印象を振りまくことも多かった伊藤剛の初の単著は、思いもかけない力作となった。きちんと地道に積み重ねてきたのだな。
 「キャラ」と「キャラクター」の区別と、後者による前者の隠蔽を通した「マンガにおけるモダニズム」の成立とか、「(コマと画面の間での)フレームの不確定性」にマンガ表現の固有性を見いだすなど、非常に示唆深い議論が展開されている。
 何より「マンガの現在をまずは肯定しよう」という姿勢がすがすがしい。