ひさうちみちお『精G――母と子の絆』(青林工藝舎)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4883792498/interactivedn-22

精G

精G

 老親介護をテーマにした私小説的まんがといえばいさやまもとこのものがあるが、こちらはずいぶんと味わいが違う。もちろんそれなりの苦労はしているのだが、めちゃくちゃ大変というわけではないから、介護ノウハウ実用書としての側面はない。正であれ負であれ「感動」もない。軽くボケがきた老母の、ボケゆえに顕わになる人間性の醜さに辟易し、あるいは突拍子もない妄想のおかしさにニヤニヤする日々が淡々とつづられる。
 「母のぼけは神様からの贈り物」って、要するにすごいネタが天から降ってきた、ってことだ。