スティーヴン・レヴィット&スティーヴン・ダブナー『ヤバい経済学』(東洋経済新報社)

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 「どうせ例のいつものシカゴ学派流のアレだろう」と思って見過ごすと損をする。
 第一に、本書の重点は理論的アクロバットにではなく、意表をついた、しかし地道な実証にある。レヴィットはマジで「経済は苦手であまり興味がない経済学者」で、犯罪やギャンブルや教育や差別といった小ネタこそが彼の興味の対象なのだ。
 第二に、その感性においても、ベッカーやフリードマンとは微妙に違う。彼らはもっとイデオロギッシュだが、レヴィットは本当に、ただの好奇心の塊に過ぎない。
 第三に、実は「いい話」てんこ盛りだ。ハーヴァードでの面接に際しての、センとノージックの助け舟の話とか、共同研究者(シカゴのゲットーでクラック売人の参与観察をした社会学者ヴェンカテッシュと、黒人問題に取り組む経済学者フライヤー)のエピソードなど。