新刊旧刊いろいろ

神門善久『日本の食と農 危機の本質(NTT出版)
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「日本農業の問題点を一言で言えば、「売買・貸借を通じて農業生産に長けた者に農地が集まる」という市場経済のメカニズムが働いていないことである。農業に長けたものではなく、政治力がある者が濡れ手に粟の農地の転用収入を得る構造になっている。この転用収入は、毎年、農業生産額の八割に達する。国土の狭いわが国では農業的土地利用と都市的土地利用がしばしば競合し、農山村部でも公道や大型施設の建設機会は決して無視できない(しかも平坦・好区画の優良農地ほど、転用したときの価値も高い)。転用機会がいつ来るかは不確実であるが、ひとたび転用機会に遭遇すれば、少なめに見積もっても農地の価格は収益還元価格の三〇倍に跳ね上がる。」(132-133頁)
 要するに農地取引が政治的な投機期待でゆがめられまくってるわけね。眼から鱗。


三中信宏系統樹思考の世界 すべてはツリーとともに講談社現代新書
http://www.bk1.co.jp/product/2695542?partnerid=p-inaba3302385
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 みなか先生ようやく出ましたね。積読の『生物系統学』もなんとかせねば。


三浦俊彦『ゼロからの論証』青土社
http://www.bk1.co.jp/product/2694469?partnerid=p-inaba3302385
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 人間原理(および究極理論としてのダーウィニズム)入門書として。
 ここに収録の論文はもうサイトでは読めませんから、あきらめて買いましょう。加筆訂正してあるし。


愛敬浩二『近代立憲主義思想の原像 ジョン・ロック政治思想と現代憲法法律文化社
http://www.bk1.co.jp/product/2276007?partnerid=p-inaba3302385
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 『「資本」論』を書く前にこれを読んでおかなかったのはまずかった。スキナー、ポコック以降とみに歴史学化した政治思想史と、現代的規範理論をめざす政治理論・憲法理論との緊張感ある対決。名著。
 新著の『改憲問題』は……ぼく個人は長谷部恭男的スタンスに共感するわけですが。大沼保昭改憲論も嫌いじゃない。「帝国主義的」かもしれないが、前に言ったように、平和憲法主義だって時に充分帝国主義的になるんだ。