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KEYMAN(4) (リュウコミックス)

KEYMAN(4) (リュウコミックス)

 ちょっと重い展開。レイシズムのメタファーとしての亜人・獣人というモチーフがひょっとするとかなり遠くまで転がっていくかもしれない。
 この世界では獣人は差別の対象とはなってはいるものの「普通の人間」である。しかしそれに対して本物のフリークス、人外の力をふるう魔物としてのKeymanやそれを操る魔術師といった闇の住人もまた存在する。
 みずから闇の住人でありつつ、闇と人間界の境界を侵犯し、普通の人間を食い物にするKeyman現象の黒幕を、人間界の警察と協力して追う魔女ネクロは「普通の人間から怪物になりはてたKeymanは、人間の法では裁けない獣で、滅するしかない」と主張するが、獣人(というか恐竜人)の刑事アレックスはこう反駁する。
「俺たちも獣だ。法が獣を人間にするんだ。だからこそ法によって、獣人も人間も等しく人間となるんだ。きっと奴らも俺たちと変わらない。奴らにも法の裁きを受ける権利があるんだ。」
 そのアレックスのヒューマンな理想が通用しない現実をネクロは知っているはずなのだが、彼女はアレックスら「普通の人間」にその真実(それがなんなのかはまだ明らかではなく)をまだ告げることができず、ただ詫びるしかない。
 その真実は「そもそも人間とは何か?」というおぞましい問いかけにつながらざるを得ないだろう。すでに物語の展開が、おそらくはそもそも(魔物ではない普通の人間としての)獣人の出現自体が、闇の住人による策動の産物であることさえも暗示しているだけに……。


セントールの悩み 4 (リュウコミックス)

セントールの悩み 4 (リュウコミックス)

 こちらはもう少しライトに、いかにもSF的に人種問題についての思考ゲームを極力無害なレベルで継続しようとしている。