動学的一般均衡理論入門

 ハードコアである。門外漢のための哲学的導入から、正則経済とかマクロのミクロ的基礎、メカニズム・デザインなどの大学院レベルのトピックまで盛り込んだ
ミクロ経済学―静学的一般均衡理論からの出発 (Minervaベイシック・エコノミクス)

ミクロ経済学―静学的一般均衡理論からの出発 (Minervaベイシック・エコノミクス)

と対極をなす。なぜかこっちには解説されているIS・LMが一言もないあたり確信犯である(言い訳はある)。
 学部マクロの標準的な内容はほぼ入っていない。ある意味、大学院への準備に特化した本である。だから公務員試験準備などには使えまい。
 今の学部上級・大学院レベルだとラムゼイ・モデルを軸とした成長論を扱う長期と、IS・LMを含めて伝統的な不完全雇用を扱う短期との不達の領域をカバーするのが標準であるが、本書は長期に特化している。短期に特化したのが
現代マクロ経済学講義―動学的一般均衡モデル入門

現代マクロ経済学講義―動学的一般均衡モデル入門

ということになる。


 あとそろそろ教科書レベルでも数値解析が必須になってきたか……。加藤著はMATLABを使ってるが、制御工学のようにScilab、FreeMatなどのフリーウェアを前提にしたテキストが必要かも。