和田一夫『ものづくりの寓話』(名古屋大学出版会)

ものづくりの寓話 -フォードからトヨタへ-

ものづくりの寓話 -フォードからトヨタへ-

 まだ途中までしか読んでいませんが、とにかく産業研究に興味のある人は必読。これを読むとフォードやトヨタについてのイメージが一新される――というわけでは必ずしもないにせよ、格段に深まるはず。
 「大量生産」「流れ作業」あるいは「かんばん方式」「ジャスト・イン・タイム」といった言葉で本来何が意味されていたのか、それが歴史的なキーワードとして継承されて(すなわち「神話(寓話)化」されて)いった中で何が忘却されたのか、を丹念に明らかにしていく。「大量生産」にせよ「トヨタ生産方式」にせよ、狭い意味での「現場」、生産ラインだけを特権的にクローズアップしてもその本質は見えてこない。全社的、更には下請まで含めてのネットワークの全体を視野に入れていかなければわからないことがある――まあ言われてみれば当たり前なんですが。


 それにしても物流、ロジスティックって大事なんだな……というのはこちらを読んでいてもつくづく思う。

ソーシャルパワー:社会的な“力”の世界歴史〈1〉先史からヨーロッパ文明の形成へ (叢書「世界認識の最前線」)

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