というわけで空気を読んで

 2001年11月12日より再掲。

漢字と日本人 (文春新書)

漢字と日本人 (文春新書)

はひょっとして日本語を素材としたポストコロニアル批評の傑作ではなかろうか。日本の漢字熟語の中に、古典古代中国のみならず近代西洋に対する植民地根性がこれほどまでに刻印されていたとは、私不明にして理解していなかった。しかしながら著者は言う:

 漢字は、日本語にとってやっかいな重荷である。それも、からだに癒着してしまった重荷である。もともと日本語の体質にはあわないのだから、いつまでたってもしっくりしない。
 しかし、この重荷を切除すれば日本語は幼児化する。へたをすれば死ぬ。(245頁)

 これこそまさに「ポストコロニアル」状況であろう。