マクレガー・ノックス&ウィリアムソン・マーレー編『軍事革命とRMAの戦略史 軍事革命の史的変遷1300〜2050年』(芙蓉書房出版)

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軍事革命とRMAの戦略史―軍事革命の史的変遷1300~2050年

軍事革命とRMAの戦略史―軍事革命の史的変遷1300~2050年

  • 作者: マクレガーノックス,ウィリアムソンマーレー,MacGregor Knox,Williamson Murray,今村伸哉
  • 出版社/メーカー: 芙蓉書房出版
  • 発売日: 2004/06/01
  • メディア: 単行本
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 軍事変革を中心としつつそのインパクトが社会体制全体に及ぶ「軍事革命Military Revolution」と、狭い意味での軍事的イノベーションたる「RMA Revolution in Military Affairs」の概念的区別と、軍事革命・RMAの歴史的研究の必要性を力説する。
 ここで注意すべきは「軍事革命」の概念は、1956年のマイケル・ロバーツによる、30年戦争の時代、ナッサウ伯マウリッツとスウェーデン王グスタフ=アドルフによる軍事改革の世界史的意義を力説した論文"The Military Revolution: 1560-1660"に発するもので、近年流行の、湾岸戦争以来注目されているハイテク軍事変革をさす「RMA」とは区別されなければならない、ということ。本書ではロバーツ論文に発する40年にわたる論争史は既に前提とされており、それとして主題化されないので注意が必要。この意味での「軍事革命」についての日本語文献は、ロバーツ説の批判的継承を試みる
ジェフリー・パーカー『長篠合戦の世界史 ヨーロッパ軍事革命の衝撃1500〜1800年同文館
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長篠合戦の世界史―ヨーロッパ軍事革命の衝撃1500~1800年

長篠合戦の世界史―ヨーロッパ軍事革命の衝撃1500~1800年

があるが現在品切れ。他にはやはりこの分野では必須の
ウィリアム・マクニール『戦争の世界史 技術と軍隊と社会』(刀水書房)
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戦争の世界史―技術と軍隊と社会

戦争の世界史―技術と軍隊と社会

あたりか。基本文献としてはロバーツ原論文を含むアンソロジー
Clifford J. Rogers ed., The Military Revolution Debate: Readings on the Military Transformation of Early Modern Europe (Westview Pr )
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The Military Revolution Debate: Readings On The Military Transformation Of Early Modern Europe (History and Warfare)

The Military Revolution Debate: Readings On The Military Transformation Of Early Modern Europe (History and Warfare)

があるらしい。


 日本語に少々難ありだが全編勉強になることばかりの本書でことに趣深いのは、編者たちによる序章、最終章で噴出する憂国の弁である。ベトナム帰りの軍事史家たる彼らには、近年のRMAブーム、ハイテク礼賛の風潮が、かつて兵士だった彼らを苦しめ、屈辱的な敗北に追い込んだマクナマラ流の似非合理主義の再来にしか見えない。そこで彼らは警告する――お前らもっと歴史を勉強しろ。