伊藤計劃『虐殺器官』(早川書房)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/asin/4152088311/interactivedn-22
 既に指摘されたとおり初期山田正紀のいくつかのモチーフ、とりわけ「終末局面」に顕著なそれの、あるいは飛浩隆の指摘するごとく小松左京のモチーフ(具体的には「牙の時代」あたりか)を今日的な状況と知的意匠を踏まえて継承し、飛のいうごとく「日本文系SFの系譜のひとつが最高の形でアップ・トゥ・デイトされた」と言えよう。「文系」ではあるががっちりハードSFであるところもミソ。もちろん、ハイテク軍事スリラー好きの方にもおすすめだ。


 以下少しばかりレム風、というより謎本風の読解への準備作業を試みる。(激しくネタバレ)

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