2009-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「リバタリアニズム」概念について

リベラリズム理論の文脈においては、前章で見たようなひ弱な/他律的リベラリズム、あるいはその法的・政策的側面を重視する保守的自由主義の場合には、安定性の方が重視されます。人間を取り巻く環境は多層的であるわけですが、保守的自由主義者は人を取り…

「職場」というマジックワード/バズワード

これまでの日本の労働問題研究で用いられてきた主要な分析の枠組は,重工業大経営での労務管理や労使関係に注目する際に,職場のあり方に焦点を当てて分析を行うという特徴を持っていた.職場はいくつかのレベルで捉えられ得るが,これまでの研究は職長(作業長)…

「労使関係論」とは何だったのか(17)

(承前) 更にはもちろん、この時期にはいまだ新古典派経済学が未成熟で、ようやく市場経済の一般均衡理論が完成を迎えつつある時代であり、制度や組織、慣行を正面から扱う理論がまだ登場していなかったことも重要である。労働、農業、財政金融といった領域…

お買いもの思案

貿易の嫉妬―国際競争と国民国家の歴史的展望作者: イシュトファンホント,Istvan Hont,田中秀夫出版社/メーカー: 昭和堂発売日: 2009/05メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (9件) を見る近代政治思想の基礎―ルネッサンス、宗教改革の時代作…

いただきもの

がたまっていた。なぜ「自由」は不自由なのか 現代のリベラリズム講義作者: 仲正昌樹出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2009/08/20メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (5件) を見る 政治哲学的リベラリズム論としては、形而上学的自由…

「労使関係論」とは何だったのか(16)

しかし注意すべきは、講座派、労農派いずれの立場も、日本資本主義を複合的な構造をもった――複数のサブシステムからなる――単一のシステムとみなしたうえで、それらサブシステムのうちのどれか一つでもって、システム全体を「代表」させようとしているところ…

古本屋で

ジョゼフ・フーシェ―明日の歴史 (ツヴァイク伝記文学コレクション2)作者: S.ツヴァイク,Stefan Zweig,吉田正己,飯塚信雄,小野寺和夫出版社/メーカー: みすず書房発売日: 1998/08メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (2件) を見る憲法判例を…

神保町にて

宇宙生物学入門―惑星・生命・文明の起源 (World Physics Selection Readings)作者: P.ウルムシュナイダー,Peter Ulmschneider,須藤靖,田中深一郎,荒深遊,杉村美佳,東悠平出版社/メーカー: シュプリンガージャパン発売日: 2008/07メディア: 単行本 クリック: …

積読解消

新自由主義と戦後資本主義―欧米における歴史的経験作者: 権上康男出版社/メーカー: 日本経済評論社発売日: 2006/12/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (7件) を見る フーコーのネオリベラリズム論の副読本として必須。ミシェル…

諸星大二郎『闇の鶯』(講談社)

闇の鶯 (KCデラックス)作者: 諸星大二郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/04/23メディア: コミック購入: 3人 クリック: 20回この商品を含むブログ (29件) を見る ちょいと懐かしい味わい。

勤務先図書館から

明日から長期休暇で閉館なので、労働関係の図書を大量に借り出しておく。日本の労働調査―1945~2000年作者: 山本潔出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2004/03メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (3件) を見る 「東大社研グループ」つ…

お買いもの

神と仏の倫理思想―日本仏教を読み直す作者: 吉村均出版社/メーカー: 北樹出版発売日: 2009/06メディア: 単行本 クリック: 23回この商品を含むブログ (3件) を見る 駒場の見田先生のゼミ以来の知り合いで、うちの教養課程に長らく(ぼくの着任前から)非常勤…

きしくんとさいとうさんご夫妻上京

白金のイタリアンつぼ八(仮名)で昼飯を食う。 もっと分厚い教科書をかけと言われる。

「労使関係論」とは何だったのか(15)

先のレオンチェフ的モデルにせよ新古典派的モデルにせよ、あまりにも玩具的なモデルであり、先の議論もそれらを労働経済の実証のツールとしてよりはむしろ政策提言のための基準を与えるベンチマークとして用いた。もちろんいやしくも「資本主義」における労…

下田平裕身「<書き散らかされたもの>が描く軌跡 : とをつなぐ不確かな環を求めて : という営みにこだわって 」

https://soar-ir.shinshu-u.ac.jp/dspace/handle/10091/656 「氏原教室」あるいは「東大社研グループ」からのはぐれもの下田平裕身氏の回顧録。 いろいろな意味で大変に貴重な証言である。 文中より二点だけ紹介しておく。成熟のなかの危機―労使関係現場から…

カール・シュミットの中立論についての論考

果たして、正当戦争論と中立は論理必然的に相いれないものであろうか。たしかに戦争が、公的秩序を脅かす「犯罪者」とそれを取り締まる「司法機関」との間の武力衝突として把握される場合には、両者の法的・倫理的地位は明らかに異なっており、そこにおける中立を法的…

いただきもの

比較歴史社会学へのいざない―マックス・ヴェーバーを知の交流点として作者: 折原浩,水林彪,小路田泰直出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2009/08/11メディア: 単行本 クリック: 12回この商品を含むブログ (5件) を見る神学・政治論―政治哲学としての倫理学作…

志村貴子『放浪息子(9)』(エンターブレイン)

放浪息子 9 (BEAM COMIX)作者: 志村貴子出版社/メーカー: エンターブレイン発売日: 2009/07/25メディア: コミック購入: 9人 クリック: 279回この商品を含むブログ (120件) を見る 中学生ともなるとやはり大変なのか。

『思想』2009年8月号ネグリ特集から

スピノザの面白いのは、エチカとポリチカを異質なままにしておいて、哲学者がよくやるように弁証法的に綜合しようとしないことだ。国家の論理からすれば市民は自己の権利のもとにはなく国家の権利のもとにある。だが理性に導かれる人間はたとえ国家の法に服して…

いただきもの

基礎からまなぶ経済学・入門 (有斐閣アルマ)作者: 大瀧雅之出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2009/08/01メディア: 単行本 クリック: 43回この商品を含むブログ (7件) を見る ありがとうございます。 ミクロから説き起こしてケインズ的マクロ経済学まで至ろう…

「労使関係論」とは何だったのか(14)

戦前の大河内社会政策論から戦後の隅谷賃労働論、氏原労働市場論にいたるまで共通していた認識は、資本主義経済下の自由な労働市場を今日風に言えば「市場の失敗」が避けがたいものとして捉える、というものだった。問題はそれが具体的に言えばどのような失…

お買いもの+お買いもの思案

ホッブズ 市民論 (近代社会思想コレクション)作者: トマスホッブズ,Thomas Hobbes,本田裕志出版社/メーカー: 京都大学学術出版会発売日: 2008/10/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (18件) を見る このシリーズは続刊(ユゥト…

いただきもの

転回点を求めて―一九六〇年代の研究作者: 富永茂樹出版社/メーカー: 世界思想社発売日: 2009/03メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (6件) を見る 王様が書いておられます。 教育学 (ヒューマニティーズ)作者: 広田照幸出版社/メーカー: 岩…

『atプラス』1号

『at』リニューアル。権丈善一先生に尽きる。あと「経済と経済学」特集で落合美砂編集長だというのに『エコミシュ』組が出動していないのが趣深い。 湯浅誠インタビューを読んで、「(少なくともある種の)運動家は官僚や為政者よりむしろ経営者に似ているの…