昭和恐慌から昭和維新、そして昭和研究会の教訓

これは僕の意見だが、保護主義の台頭と植民地政策が日本の場合は完全にシンクロしてしまい、それが大恐慌を世界でいち早く脱出したにもかかわらず、そのようなマクロ経済政策の成果を顧みず(テロで黙殺)、日本が世界でいち早く保護主義と戦争の時代に突入していった、というわけです。まさに奇妙なイデオロギーこそ危機の時代にもっとも用心すべきことだと思います。

http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20081225#p2

参考文献:

脱デフレの歴史分析―「政策レジーム」転換でたどる近代日本

脱デフレの歴史分析―「政策レジーム」転換でたどる近代日本

 やはりこれか。


アジア/日本 (思考のフロンティア)

アジア/日本 (思考のフロンティア)

「奇妙なイデオロギー」についてはこの文献あたりがよい。ただし著者の米谷君はこの「奇妙なイデオロギー」の魔にやや魅入られてしまっている気がする。米谷君のそれまでの研究は和辻哲郎大河内一男矢内原忠雄らのリベラル知識人の戦時下での「動員されつつの抵抗/抵抗しつつやはり加担」についてドライに描くもので、対象との距離の取り方は絶妙だったが、何とも面白くなかった。しかし名論文「戦時期日本の社会思想」は確実に面白く、そしてその面白さは明らかに、著者自身の対象――三木清、そしてとりわけ尾崎秀実への思い入れによるものであった。