サボタージュ局

http://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20070502/p1
への補足説明。
デューン』でおなじみのフランク・ハーバートのシリーズに「ジャンプドア」という宇宙警察(?)ものがあるんですが、そこで主人公が所属する機関名が「サボタージュ局」なのです。

 ずっと昔、何世紀も昔に、《良い事をしたい》という強迫観念を抱いた知的生物集団が、政府を乗っ取った。その強迫観念の裏側にうごめく複雑さ、罪悪感、自己懲罰などに気づかぬままに、彼らは政府から事実上すべての遅延や、繁文縟礼〔レッド・テープ〕を除去してしまった。知的生物の生活を不器用に支配していた大きなマシンが、いつのまにかトップ・ギアに入って、ぐんぐんスピードを増していった。いろいろな法律が発案され、その時間内に通過した。特別会計支出予算案がまたたく間に現実のものとなり、二週間で消費された。そんな必要があるとも思えない目的のための新局が、つぎつぎに生み出され、まるで気違いきのこのように増殖していった。
 政府は調速機〔ガヴァナー〕のない巨大な破壊車輪になってしまい、気違いじみたスピードで転げ回り、それが触れるあらゆる場所に、混沌を広げた。
 絶望の中で、一握りの知的生物たちが、その車輪のスピードをゆるめるための、サボタージュ部隊というものを思いついた。流血や、その他いろいろな程度の暴力行為があったが、結局、車輪のスピードはゆるめられた。やがて、その部隊が局になった。そして、今日存在するものが、とにかくこの局なのである――それ自身のエントロピーの回廊の中に向かって進んで行く一つの組織、暴力よりも微妙な牽制を好むが……必要が起こればいつでも暴力を振るう用意のある知的生物のグループだ。


フランク・ハーバート『鞭打たれる星』21-22頁)
殊能将之先生の日記
http://www001.upp.so-net.ne.jp/mercysnow/LinkDiary/links0510.html
よりコピペさせていただきました。


ジャンプドア
『鞭打たれる星』(創元SF文庫)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4488659012/interactivedn-22
『ドサディ実験星』(創元SF文庫)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4488659020/interactivedn-22