メモ

宇宙における財産権と主権をめぐる雑想2

私法レベルでの財産権保障の枠組みが宇宙にストレートに延長されていくことを容認するとしても、それを支える公法的秩序、とりわけ国家主権、国際(公)法風に言うならば管轄権配分の問題は一筋縄ではいかない。 これまで「宇宙物体」といえば基本的に地上か…

宇宙における財産権と主権をめぐる雑想1

『宇宙倫理学入門』には書けなかったことを少し考えてみる。================ よく知られているようにアメリカ合衆国は2015年に商業宇宙打ち上げ競争力法を制定し、月や小惑星など地球外の天体・宇宙空間で発見した資源を、発見者が私的に自…

「成長の統一理論」

とでも訳すのか?Unified Growth Theory作者: Oded Galor出版社/メーカー: Princeton Univ Pr発売日: 2011/04/11メディア: ハードカバー クリック: 3回この商品を含むブログを見る ここで岩本康志が紹介しているものである。タイラー・コーエンのコメントは…

日本建築学会復旧復興支援部会シンポジウム「復興の原理としての法、そして建築」(3月23日)感想

以下は当日の模様のレポートではなく、あくまでも私的な感想である。公的なレポートは、来る『法学セミナー』をご覧いただきたい。なお、以下では触れていないが、モデレーターの木村草太による資料はきわめて充実しており、一見の価値がある。いずれ配信さ…

森建資先生退官記念講演とパーティーを終えて

森先生の講義「独立と従属の政治経済学」は先生のこれまでの研究を総括しようという壮大な試みだったが、単行本にまとめられた『イギリス農業政策史』についてはうまい位置づけがなされないままに終わってしまった。 その後のパーティーでのお話で意外だった…

『現代思想』2012年2月号「特集・債務危機」

現代思想2012年2月号 特集=債務危機 破産する国家作者: 伊藤誠,浜矩子,杉村昌昭,小泉義之,マウリツィオ・ラッツァラート,セルジュ・ラトゥーシュ出版社/メーカー: 青土社発売日: 2012/01/27メディア: ムック クリック: 3回この商品を含むブログ (4件) を見る…

東北大学大学院文学研究科グローバルCOEプログラム「社会階層と不平等教育研究拠点」東京セミナー「教育の経済学の展望」(2012年3月4日)

http://www.sal.tohoku.ac.jp/gcoewiki/jp/wiki.cgi?page=FrontPage&file=Tokyo%5FSeminar%5FFlier120304%2Epdf&action=ATTACH に行ってまいりました。 帰ろうと思ったところ助教の中室さんに呼ばれたので懇親会にも出て小塩さんと佐藤嘉倫先生にご挨拶をし…

新城カズマさんに会う

田中秀臣についていって新城カズマ氏を交えて座談。 「『サマー/タイム/トラベラー』は内田善美『空の色に似ている』に強烈にインスパイアされている」仮説は確証されました。サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)作者: 新城カズマ,鶴田謙二出版社…

立岩真也『私的所有論』の一解釈

念のためにここから今少し敷衍しよう。まさに不動産からの「立ち退き」のケースについて考えてみる。再開発の波が押し寄せる小汚い下町で、猫の額ほどの土地の上にボロ家が建っている。しかしその土地はまさにその居住者のものだとしよう。あるいは借り物だ…

市民社会から資本主義へ(続「「占有」について」)

かつての日本の市民社会派マルクス主義は、市民社会から資本主義社会への転化を「領有法則の転回」――「労働に基づく所有」から、「蓄積された労働=資本に基づく所有」への転化として捉えた。それは言ってみれば「小ブルジョワ没落史観」である。『資本論』…

「占有」について

いい加減なノート。やっと立岩理論の意義と限界が見えてきた感あり。============================ 昨今の「市民社会」ブームの中ではほとんど忘れ去られていた、戦後日本マルクス主義の一ウィングとしての「市民社会派」はマル…

小松左京「物体O」より

「しかし、いつかは、我々が世界経済に復帰する日が来るにちがいない」機械メーカーの社長が言った。「そうなった暁には、我々は世界の技術的発達からとり残され、最後先進国になっているでしょう」 「その点についてはプランがあります」 科学技術担当の会…

疎開についての8月末段階でのメモ

以前に書いて猪飼修平氏はじめCFW-Japan内一部の方々に回覧したメモをアップする。 除染についての見積もりをちゃんとして、まともな政策提言といえるレベルにしてから公にしようと思っていたが、多忙につきそんな暇もなく、また事態は刻々動いているので、…

唯一無二の存在・出来事についての科学

は実は普通の意味の(法則定立志向的な)科学としても不可能ではない、のかもと思い始めている。三中信宏先生のやってることってそういうことでは。 たとえば、ある単一で他に類例がない存在者の出現に寄与した可能性がある因子が複数あったとして、それらの因…

木庭顕『法存立の歴史的基盤』学士院賞授賞審査要旨

http://www.japan-acad.go.jp/pdf/youshi/101/koba.pdf 法存立の歴史的基盤作者: 木庭顕出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2009/04メディア: 単行本 クリック: 13回この商品を含むブログ (6件) を見る

復習

ハンナ・アレント的、あるいは藤田省三的な意味での「全体主義」概念を軸として、自分のこれまでの規範理論的な作業を振り返ると、以下のようにまとめられる。 『リベラリズムの存在証明』においては、非常に強い意味でカント的な――「独我論者同士の相互承認…

内閣府「社会保障・税一体改革の論点に関する研究報告書 」より

吉川洋・井堀利宏両氏主導の主文と有識者コメントからなる。 第1部は逆進性を焦点に消費税と社会保障について。主文では「引退後も含めた生涯所得ベースで考えれば逆進性はそれほどではない」というが、ロスジェネを中心とする流動性制約のきつい(貯蓄がな…

小野善康さんの経済学会シンポでの発言への、松尾匡さんのコメント

被災は個人の責任ではないということを強調され、日本はどこでも大災害に見舞われるリスクがあるのだから、国の制度として、災害時には復興と生活再建を保障するシステムを作るべきだとおっしゃいます。そこに恒常的財源としての「復興税」を組み入れるべき…

内閣府「社会保障・税一体改革の論点に関する研究報告書 」

http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/syutyukento/dai9/siryou3-4.pdf 読めばわかるやばさ。現時点での増税断固阻止。

〆切が迫っているのだが

別のことを考える。 佐藤亜紀がなぜあれほど小松左京を持ち上げることに対して苛立っているのか。それにはちゃんとした理由がある。それはおそらく、伊藤計劃について小松左京、そしてとりわけ山田正紀の影響を指摘した発言に対する反発とも関係がある。 件…

図書館から借り出し

法の近代とポストモダン作者: 海老原明夫出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 1993/10メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (4件) を見る 村上淳一還暦記念。 木庭顕「Savignyによる占有概念の構造転換とその射程」 和仁陽「サヴィニー・ギュンタ…

2011年1月17日付学科主任挨拶「入試の意義」

http://soc.meijigakuin.ac.jp/gakka/?cat=36 はいずれ消えますから。================ お久しぶりです。 本来であれば今日は、年度の初頭にアップしたご挨拶でお約束していたお話の続きをするべきなのですが、期間も空きすぎましたし、ちょ…

都立青山高校模擬授業「社会学入門の入門」

またしても用意したレジュメと全然関係ないことをしゃべったよ。即興でしゃべったことを基にここに書いておくよ。 ========== 社会学は経済学や政治学と並んで「社会科学」の仲間とされますが、日本の大学では大体社会学科は(もちろん、社会学部のないとこ…

「救命艇問題」

その昔書いたメモ。何かがまだ欠けている。たとえば「単なる遭難者にとっての、遭難者同輩を助ける義務と、救助隊員にとっての遭難者救出義務、そして為政者の義務」の比較検討とか。 本来登山とか危険なアウトドアスポーツに詳しくない人間の論じるべきこと…

『社会学入門』付録以来の宿題(続)

前回の続きです。相変わらずいい加減。 リチャード・ジェフリーのベイジアン意思決定論というのはThe Logic of Decision作者: Richard C. Jeffrey出版社/メーカー: University Of Chicago Press発売日: 1990/07/15メディア: ペーパーバック クリック: 12回こ…

『社会学入門』付録以来の宿題

前著の付録では社会学的全体論とクワイン=デイヴィドソンの意味・信念の全体論との対応付けと統合という課題が手付かずのまま放り出されていた。 その宿題を果たすべく書きなぐっているメモ。そのおかげでようやくベイジアンとかラムジー哲学とかも齧る覚悟…

カール・シュミットの「例外状態」だの「決断」だのといったレトリックについて

『政治神学』冒頭の、「主権者とは非常事態についての決断者である」という命題には、実はごまかしがある。ここでの「決断者」とは、実は「決断権者」である。 シュミットはこの命題において、革命的状況の中で、誰が闘争に勝利して決断を下すかという事実の…

Eugen Rosenstock-Huessy, Out of Revolutionを読みつつ

Out of Revolution: Autobiography of Western Man作者: Eugen Rosenstock-Huessy出版社/メーカー: Argo Books発売日: 2007/08/01メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (2件) を見る あんまり大部なので「中間考察Transition」から手を付けているの…

昨日の記事への補足

言わずもがなのことではあるが、自律型知能ロボットにとってなぜヒューマノイドであることが重要なのかといえば「自律型知能を持つためには身体を持った社会的存在であることが極めて重要らしい」からである。社会的存在でなければ合理的行為者にはなりえず…

自律型ロボット倫理の応用問題

以前「自律型ロボットの倫理学の基本格率」なるものを思いつき、その議論は『「資本」論』と『オタクの遺伝子』で少し敷衍したのだが、その後グレッグ・イーガンだの飛浩隆だのを読んだうえで更に考えたことを少しメモしておく。 浦沢直樹『PLUTO』は、最初…