主な単著

増補 経済学という教養 (ちくま文庫)作者:稲葉振一郎筑摩書房Amazon増補 経済学という教養【電子書籍】[ 稲葉振一郎 ]価格: 825 円楽天で詳細を見る「資本」論 ――取引する身体/取引される身体 (ちくま新書)作者:稲葉振一郎筑摩書房Amazonモダンのクールダウ…

新しい終末論(ないしそれに代わる歴史目的論)としての長期主義

マッカスキルを読んで面白いと思ったのは、長期主義は新しいタイプの終末論というか、歴史目的論だなというところ。コジェーヴを引き継いだフランシス・フクヤマの「歴史の終わり」論なんかもあるし、そうするとそれらを踏まえた東浩紀の動物化論も終末論と…

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「経済成長」の起源:豊かな国、停滞する国、貧しい国 作者:マーク・コヤマ,ジャレド・ルービン 草思社 Amazon サークル有害論 なぜ小集団は毒されるのか (集英社新書) 作者:荒木優太 集英社 Amazon 火星からの来訪者: 知られざるレム初期作品集 (スタニスワ…

『消え去る立法者』合評会(9月9日・慶応義塾大学三田キャンパス)を終えて(続々)

繰り返しになるが、社会契約論の図式は、神の立法とはことなり人々の合意へと国家の存在理由をおおいに「民主化」しているように見えるが、「あらかじめ先取りされた、予定された結果としての目的が原因となる」という目的論的図式は共有している。モンテス…

『消え去る立法者』合評会(9月9日・慶応義塾大学三田キャンパス)を終えて(続)

もう少し「回顧的倒錯」の話をしよう。 遡るならばニーチェということになるのだろうけれど、フーコーの受容とともに我々は「系譜学」という方法になじんだ。永井均の言い回しを借りればそれは「現在の自己を成り立たせていると現在信じられてはいないが、実…

『消え去る立法者』合評会(9月9日・慶応義塾大学三田キャンパス)を終えて

王寺賢太『消え去る立法者』はディドロ研究者として世界の最前線を担う著者がディドロについて論じるための前振りとしてモンテスキュー、ルソーに遡ったもので、同じ主題を継承してディドロを論じる続篇が予告はされているものの、その概略は終章に提示され…

木庭顕「10兆円ファンド」(法律時報95巻6号)へのコメントとリプライ

2023年5月30日(火) 21:56 稲葉振一郎 木庭先生 ざっと拝読しましたが、やや気になるところがございます。資本主義の本義は資産の商品化、市場化というところにあり、なおかつそれが過度の投機化によって消耗されることなく守られ、資産のゴーイング・コンサ…

『水星の魔女』雑感

もちろん『水星の魔女』は意匠としての百合を利用しただけであってクィアにコミットしようとしたわけではない。また百合も主題というよりは本来の主題の副産物として導き出されたものではなかろうか。本来の主題が何かといえば、訴求力の強いテレビシリーズ…

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深層学習 改訂第2版 (機械学習プロフェッショナルシリーズ) 作者:岡谷貴之 講談社 Amazon 大規模言語モデルは新たな知能か ChatGPTが変えた世界 (岩波科学ライブラリー) 作者:岡野原 大輔 岩波書店 Amazon ディープラーニングを支える技術 ——「正解…

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倫理学 (3STEPシリーズ 5) 昭和堂 Amazon 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか? (岩波ブックレット 1080) 作者:小野寺 拓也,田野 大輔 岩波書店 Amazon 人工知能とどうつきあうか: 哲学から考える 勁草書房 Amazon 難病政策の形成と変容: 疾患名モデルによ…

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多数派の専横を防ぐ 意思決定理論とEBPM (日本経済新聞出版) 作者:郡山 幸雄,宮木 幸一 日経BP Amazon 宇宙開発の不都合な真実 作者:寺薗淳也 彩図社 Amazon 未来倫理 (集英社新書) 作者:戸谷洋志 集英社 Amazon スタンフォード物理学再入門 特殊相対性理論…

哲学の位置について私見

「人の生きづらさについて社会学はそれを生み出す社会体制・環境のメカニズムを明らかにし、その変革を通じて何とかしようとするし、心理学は個人の心身にはたらきかけて何とかしようとするけど哲学はどうなのか?」と問われて「臨床哲学とか応用倫理学だと…

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ロックの正体 作者:樫原辰郎 晶文社 Amazon 〈消費者〉の誕生 近代日本における消費者主権の系譜と新自由主義 作者:林 凌 以文社 Amazon

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まとめて 新版 ヌアー族 (平凡社ライブラリー942) 作者:E.E.エヴァンズ・プリチャード 平凡社 Amazon 道徳および立法の諸原理序説 下 (ちくま学芸文庫) 作者:ジェレミー・ベンサム,中山元 筑摩書房 Amazon 道徳および立法の諸原理序説 上 (ちくま学芸文…

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記憶を語る,歴史を書く: オーラルヒストリーと社会調査 (単行本) 作者:朴 沙羅 有斐閣 Amazon オーラルヒストリーの基本書になるなと。

紀要論文二点

「巨大事故、グローバル災害と人類の未来」『明治学院大学社会学・社会福祉学研究』160号 meigaku.repo.nii.ac.jp 高校での模擬授業です。 「「コンタクト・パラドックス」とその同類たち」『明治学院大学社会学・社会福祉学研究』161号 meigaku.repo.nii.ac…

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いろいろとたまった これからのメディア論 (y-knot Musubu) 作者:大久保遼 有斐閣 Amazon よい教科書。 ゲームが教える世界の論点 (集英社新書) 作者:藤田直哉 集英社 Amazon 何故か(もとの連載にはあった)ニーア論がない。 メディアと社会の連環: ルーマ…

高知工科大学講義(2023年2月14日)

参考: shinichiroinaba.hatenablog.com チェーザレ(1) 破壊の創造者 チェーザレ 破壊の創造者 (モーニングコミックス) 作者:惣領冬実 講談社 Amazon 乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ : 1 乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ (アクションコミックス) …

「殺すことはない」

大昔に河出の『文藝』のアンケートに答えたことが触れられていた 「もっと明瞭な殺人否定論はないのですか?」「たしか、いなば先生 @shinichiroinaba が大昔に少年向けに書いたものがあって、まず君には、殺されたくない大事な人たちがいる。ところで他の人…

朝日新聞社編『危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』』(徳間書店)取材原稿完全版

朝日新聞の連載企画を基に先般刊行された朝日新聞社編『危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』』(徳間書店)に寄稿した拙文(インタビューのフォーマットに合わせて編集者に合いの手を入れてもらった以外は当方の書下ろしである)は、紙面でもまた単行…

Artificial Intelligence, Robots, and Philosophy Edited by Masahiro Morioka

Journal of Philosophy of Life Vol.13, No.1 Special Issue: Artificial Intelligence, Robots, and Philosophy Preface[PDF] Open Access Introduction: Descartes and Artificial IntelligenceMasahiro MoriokaJournal of Philosophy of Life Vol.13, No.…

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善と悪のパラドックス 作者:リチャード・ランガム,依田卓巳 NTT出版 Amazon 創造的破壊の力―資本主義を改革する22世紀の国富論 作者:フィリップ・アギヨン,セリーヌ・アントニン,サイモン・ブネル 東洋経済新報社 Amazon

図書館にて

歴史学派とドイツ社会学の起原:学問史におけるヴェーバー資本主義論 (MINERVA人文・社会科学叢書 252) 作者:竹林史郎 ミネルヴァ書房 Amazon 哲学と経済学から解く世代間問題 経済実験に基づく考察 作者:廣光 俊昭 日本評論社 Amazon

勉強中

損害保険数理(第2版) アクチュアリー数学シリーズ 作者:岩沢 宏和,黒田 耕嗣 日本評論社 Amazon 確率微分方程式とその応用 作者:泰明, 兼清 森北出版 Amazon

勉強中

数理人口学入門 作者:稲葉寿 森北出版 Amazon 保険と金融の数理 (クロスセクショナル統計シリーズ) 作者:芳史, 室井 共立出版 Amazon

Normal AccidentsとGlobal Catastrophic Risks (覚書)

災害には人為的なものもあれば非人為的なものもある。 人為的な災害について、そのリスクをコントロールするにあたっては、発生を防ぐ・確率を減らす予防・防災があり、起こってしまった場合に損害を補償し原状復帰を目指す回復・復興があり、また起こってし…

『AI時代の資本主義の哲学』補足

拙著『21世紀の資本主義の哲学』ではマルクス、シュンペーター、コルナイの系譜を重視して資本主義の(社会主義その他集権的経済と対比したときの)眼目を「イノヴェーションを伴う/誘発する市場経済」とした。市場で競争する企業はただ単に相場(競争的価…

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重要なことについて 第2巻 作者:デレク・パーフィット 勁草書房 Amazon 重要なことについて 第1巻 作者:デレク・パーフィット 勁草書房 Amazon シリーズ 禁欲文化のヨーロッパ―修道制の歴史(合本) (中公新書) 作者:佐藤彰一 中央公論新社 Amazon

田島正樹『文学部という冒険』の『わたしを離さないで』評を承けて

田島正樹先生の『文学部という冒険』、掉尾を飾る大童澄瞳『映像研には手を出すな!』批評は見事だが、その伏線としてのカズオ・イシグロ『わたしを離さないで』読解にはやや首をひねる。いやたしかにこの作品のいかがわしさの核心部分に触れてはいるが、肝…

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文学部という冒険 人文知の復興 作者:田島正樹 NTT出版 Amazon 啓蒙思想2.0〔新版〕 政治・経済・生活を正気に戻すために (ハヤカワ文庫NF) 作者:ジョセフ ヒース 早川書房 Amazon 年月日 (白水Uブックス) 作者:閻連科 白水社 Amazon ロボットが家にやっ…