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ナウシカ考 風の谷の黙示録

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MMT 現代貨幣理論とは何か (講談社選書メチエ)

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  • 作者:井上 智洋
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/12/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
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研究不正と歪んだ科学 STAP細胞事件を超えて

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イノベーションを生む“改善” -- 自動車工場の改善活動と全社の組織設計
 

 

 

〈未来像〉の未来: 未来の予測と創造の社会学

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  • 作者:ジョン アーリ
  • 出版社/メーカー: 作品社
  • 発売日: 2019/10/31
  • メディア: 単行本
 

 

『ナウシカ解読 増補版』12月27日発売

 

ナウシカ解読 増補版

ナウシカ解読 増補版

 

 

 細目次

はじめに

第一部 ナウシカ解読─ユートピアの臨界
はじめに
第1章 成長する物語
第2章 臨界への道
第3章 ナウシカ自死
第4章 決して癒されない悲しみ
第5章 青き清浄の地
第6章 クシャナの変貌
おわりに

第二部 マルチバースのビメイダー─長谷川裕一・試論
第1章 はじめに 日本SF史の中の長谷川裕一
第2章 SFという態度
第3章 亡霊たちの戦場 ガンダム・サーガと長谷川裕一
第4章 金魚鉢の宇宙――『マップス
第5章 伸びゆく宇宙樹――『クロノアイズ』『クロノアイズ・グランサー』
第6章 造られしもの――ビメイダー、そして宇宙

第三部 補論
第1章 『風立ちぬ』「豚の虎」そして戦士道徳
第2章 『マップス ネクストシート』と「偽の神」
第3章 『コクリコ坂から』『鉄人28号 皇帝の紋章』そして「偽史
第4章 寓話・SF・「幼稚さ」
第5章 伊藤計劃の屍者たち
第6章 佐藤亜紀田中ユタカ、そして「顔」と「嘘」

第四部 拾遺 
虚淵玄にとって「結末」とは何か 
マージナル・オペレーション』は唾棄すべき傑作である
セルフ・パスティーシュとしての『ヱヴァンゲリヲン』 二次創作的欲望 
エヴァンゲリオン』から『シン・ゴジラ』へ 庵野秀明における公共性の
浮上 

おわりに

 

電子書籍版も出ます。

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ミヤザキワールド‐宮崎駿の闇と光‐

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息吹

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アシモフとネタバレ

 おかげさまで拙著『銀河帝国は必要か?』と『AI時代の労働の哲学』はご好評をいただいているが、前者に対して時々「えっそこ?」と言いたくなるご不満をたまに見かける。すなわち「これってネタバレじゃない?」という。これには正直意表を突かれた。
 そもそも文芸批評、作品批評に対してネタバレもくそもないだろう、とまずは思ったのだが、それも批評のタイプによる。本格的な学術的論考や評論の場合ならともかく、新聞など一般媒体での書評は基本的には紹介のためにあるのだから、未来の読者の興を殺ぐようなことをしてはならない。というわけで「ネタバレダメ、絶対」というのはわかる。また本格的な評論においても、たとえば大著『北米探偵小説論』で野崎六助氏は、少なくともいわゆるパズラー、本格推理小説については厳格にネタバレ、具体的には真犯人やその動機、犯行方法と言った謎の核心に触れることを避けていた――それでも、メタミステリ、推理小説についての推理小説という構造を持ち、事件の謎そのものが作品の根幹にかかわってこざるを得ないエラリー・クイーン『Yの悲劇』についてだけは、その禁を破らざるを得なかった。逆に考えると、その意味での「ネタバレ」を避けても(もちろん評者の考えるところの、だが)作品の根幹について論じうるような構造に案外多くの推理小説が鳴っているとしたら、それもまた興味深いが。
 こちらとしては正直「ネタバレ」という論難がありうるなどは思ってもみなかったため、なかなかに考えさせられた。言うまでもないことだが、これまで私が書いてきた作品批評めいた著作では「ネタバレ」のことなど毛ほども気にしてはいない。『風の谷のナウシカ』についても『マップス』についても、作品のあらすじをかなり丁寧に紹介し、そのSF的アイディアの核心を真正面から取り上げている。それはもちろん、今回のアイザック・アシモフについても同様だ。
 ただ振り返ってみると、微妙に気を使っていなくもない。SF探偵小説という体裁をとっている『鋼鉄都市』『はだかの太陽』の解説においては、そこでの殺人事件の真犯人については触れてさえいない。さすがに『ロボットと帝国』については真犯人、黒幕のジスカルドに触れないわけはいかなかったが。
 それにしても私は、なぜ「ネタバレ」に配慮せずに書いてきたのか? ここはよく考えてみると微妙な問題であり、その事情も時と場合に応じていて、一通りではない。
 たとえばアシモフについては、本当に全く「ネタバレ」のことなど頭にはなかった。その理由は何と言っても、そもそもネタバレなしには言うべきことが言えなかったからだが、同時にまた、古典であるアシモフについていまさらネタバレもへったくれもあったものではない、という意識もあったことは確かである。「読んでない方が悪い」とは言わないが、SF史上の古典であるファウンデーションのあらすじなど、読んではいなくても知っているのが、SFファンなら普通であろう(その伝で行けば、SFにおけるファウンデーション以上にミステリ史上重要な古典であるはずの『Yの悲劇』のネタバレに煩悶した野崎氏は、良心的にすぎる、とさえ言えよう)。
 更に言えば、ここは小飼弾氏の書評が正しく読み取ってくださっていることだが、別の意味でもアシモフについてはネタバレをさほど気にする必要はない、と私は評価している。アシモフのSF作品は、少なくとも長編について言えば、今日において文学作品やエンターテインメントとして楽しむにはちょっと古びていて、自信をもってお勧めできるようなものではない、ということだ。アシモフについて知っておくべきことは、基本的にはその作品中に提示されたアイディアであって、作品そのものを読むことでしか得られないような喜びはそれほどはない、と。その観点からすれば、まさに小飼氏が指摘されている通り、『銀河帝国は必要か?』は一種のあんちょことして、アシモフを読まずに済ませるには実にちょうどいい本として使えるはずである。
 『ナウシカ解読』の場合にはやや事情が異なる。あれが書かれた時点ではなお、『ナウシカ』と言えばアニメのことであり、原作たるまんが、グラフィックノヴェルの方はあまりよく知られていなかったから、その紹介をややしつこく行う必要があった。その意味ではアシモフとは逆で、『ナウシカ』のストーリーは知ってて当然の常識であるとは考えていなかった。
 かといってネタバレによって「読まずに済ませる」ことができるようにすることもまた本意ではなかった。ではなぜネタバレを躊躇しなかったのか、と言われれば、アシモフの小説とは異なり、まんが『ナウシカ』の価値はそのSF的アイディアにとどまるものではなく、それ自体として再読三読に耐える作品であるから、ネタバレをさほど気にする必要はない、との判断があったからだ。

 それにしても思ったのは、現在の日本において「アイザック・アシモフ」の名の持つ効力の非常な微妙さである。もともと『銀河帝国は必要か?』の原型となった英語論文においてアシモフを取り上げたのは、『宇宙倫理学入門』のモチーフを変奏する際のフックとして便利だと思われたから、である。宇宙倫理やロボット倫理を研究するような人々の間でならば、アシモフの名は国境を越えて通用し、こちらの問題意識を直観的に受容してもらう助けになる、と。しかしながらそれを日本語の新書として出す際には、版元とも相談したが、いまの日本の特に若い人には「アシモフ」とか言っても通じないだろうし、「銀河帝国」と言えばまずは銀英伝だろうということで、題名はおろか副題からも「アシモフ」の名は引っ込めたのだった。

 

 

  

銀河帝国は必要か? (ちくまプリマー新書)
 

 

 

AI時代の労働の哲学 (講談社選書メチエ 711)

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北米探偵小説論

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